このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

東京発  ローカル線とバスでの北関東の旅

旅行日:97.3.24


 今回は珍しく、東京からのルポをする事となりました。乗りつぶし旅行中の1日をカットして記事にしたので、やや不自然な行程ではありますが、たまにはこうして都会の雑踏から逃れて、田舎の澄んだ空気を味わいに行かれてはどうでしょうか?


 3月24日(月)朝5:30、営団東大前駅の近くにある単身赴任中の父の寮で起床。30〜40分はかかるのではと思った日暮里も、案外近くて6時頃、18きっぷに日付を入れてもらう。予定より17分も早いいわき行きに乗れ、我孫子・天王台で時間をつぶして、7時前取手着。これからが“痛勤”ラッシュといった感じの時間帯で、サラリーマンの姿が多く見受けられる。また改札横では、地元の政治家が通り過ぎる人に新しい時刻表を配りながら、笑顔を振りまいて支持を求めている。僕はと言えば、まだ時間が時間で見るべき所もないので、そそくさと常総線ホームへ。予定通りの下館行は、今でも久留里線で走ってる通勤型ディーゼルカー・キハ35系に似たタイプで、残念ながら旧型。やはり新型3700系はまだまだ少ないようだ。

 そして7:17分、エンジンがつらそうな音をたてながら発車。こんなに東京に近いのにDC(ディーゼルカー)とは、どうもミスマッチな気がしてならない。水海道まで複線と言うのも、そう思う原因なのかも。あれこれと似合わない理由を考えているうちにかなり進んでいて、景色は首都圏離れしてきた。確かにこんな風景だったらまだ似合わなくもないか。下館に近くなればますます周りはぴったりになり,8:46分到着。

駅舎自体がもうSL! 何ともすごい駅舎を作ったものだ。真岡にて わずか2分で乗り換えねばならず、息つく暇もなく真岡鉄道に。どうせ乗りつぶすならSLで、とかねてから考えていたのだが、結局時間が合わずにしぶしぶ普通のDCに乗る。途中の真岡駅はちょうど新駅舎の完成前で、30日の使用開始に向けて、急ピッチで作業が行われていた。写真の通りのSL型で、中には真岡鉄道本社や市の情報センター等が入ったとの事。これを見ても、SLへの力の入れようがうかがえる。

 10時前に茂木へ着き、ここでちょっと一服。貯金をすれば、うれしい事に「野州路百騎の里」の文字が入っていた。意味はよく分からないが…。さてさて、次の宇都宮行きのバスはと言うと、駅横のロータリーに止まっていた。が、いつまで経っても客も運転手も来ず、「まさか運休では」と不安がこみ上げてくる。やっとドアが開いたのは10時半、つまり発車時刻で何とものんびりしすぎだ。ただ客は15分程行った芳賀地蔵橋まで、僕一人だった・・・・。

 難読停留所の祖母井(うばない)を過ぎれば、右手にはうっすらと雪化粧した日光の山がきれいに見える。11:20分頃、宇都宮市に突入。到着予定の30分も前で、早着するのかと思ったが、駅周辺の渋滞がひどくて東武宇都宮へは逆に10分も遅れて、12時前に着いた。



東武日光駅の南での1枚。いい感じで雪が積もっている さて後半は、まず東武で日光まで。新栃木から乗り換えた快速は、客層も会津高原方面へのスキー客が混じっていたり、下今市で切り離しがあったりとユニークで、内装も臨時大垣夜行(165系)のようなボックスシートと、料金の高い東武の特急・急行から思えば、なかなかの乗り得列車だった。

 会津高原行きから切り離された下今市からは、たったの8分で東武日光へ。小学校の時に家族で来て以来なのだけれど、駅舎だけはうっすらと見覚えがある。ところで、次のバスまではあと45分もある。どうしようかなと思案するうち、バスが追いつくまで先へ歩く事に決定。道中には郵便局が3つもあって、2つ目の日光郵便局では、めでたい事に通算1000局目を達成! たった2年でこの大台を突破してしまった。他の2局でも局名印が絵入り(日光駅前は眠り猫、東照宮近くの日光本町は橋の絵)で、今日は不思議と運がいい。

こっちはJR日光駅。洋風のおしゃれな駅舎だ そして15:15分頃、観光バスタイプの東武バスで、約10分の清滝へ。100mほど先のロータリーで20分ほど待てば、日に4往復、東京から考えれば実質的に2往復しか使えない貴重なバスで、わたらせ渓谷鐵道の終点・間藤まで抜ける。マイクロバスに少しだけ手を加えただけなので、いかにも地域の足といった感じがするし、一方テープには足尾の観光案内も入れてあって、双方に抜かりがない。なおテープによれば、「足尾銅山は明治20年頃、日本の銅の40%を生産していて、宇都宮に次ぐ人口だった」らしい。なるほど、それほど栄えていたのか。

お世話になった足尾町営バス。私が降りてもう客はゼロ いろいろとこの辺りの事を教えてくれた運転士さんにお礼を言って、間藤駅のホームに立つと、何やら「カモシカの見られる駅」との看板が。驚いて今度はわたらせ渓谷の運転士さんに聞いてみると、ごく当たり前のように「朝や夜はよく出るよ」と一言。都会人の僕にとって、それはすごい事なのだが、さすがに地元の人にしてみれば普通なようだ。探してみたものの、結局現れないまま16:10分発車。森高千里の曲と言うべきか、田中正造で有名になった渡良瀬川沿いに進んでいくが、銅山の名残やかわいそうなくらい枯れた木が付近に立ち並んでいる。鉱毒によって枯れちゃったんだなと思っていたら、猿によって食い荒らされたためだとか。なんて悪い奴だ、と思っていたらちょうど線路を横切っていった。敵もサルものだ。

 何度か猿を見送れば、水沼駅で行き違い待ち。ここ水沼は、駅舎の中に温泉がある事で有名で、渡良瀬川を下に見ながらのロケーションが良さそうだ。営業時間は10時〜20時、毎月25日(土休日の場合は次の月曜に)が休館日で、料金は3時間まで大人が500円となっている。

 また最後に、運転士さんから意外な話を聞いた。もう少し早い列車なら、地元の特産品を車内販売しているとか。名物だけの車販とは珍しく、JR日南線・青島駅のういろう以外は聞いた事がない。 両毛線が近付き渡良瀬川を大きな鉄橋で越えるともう桐生、少し暗くなり始めた17:26分である。4分のせわしい乗り換えの高崎行きで、ようやくゆっくりと腰が下ろせる。今日は取手から先、ほとんどが初乗り線区で気が休まらなかった分、なんとなく疲れている。でもそういう割には、まっすぐ上野へ行けば早い(20:12着)のに、ついつい八高線へ回ってしまう。

 おかげで東京着は22:07分。でも今晩のお宿は、舞浜23:04発の「ファンタジー舞浜」長野行きで、心配する事はない。そして次の日、僕は飯山線から越後・北越急行線に乗り、長野の強烈な寒さと湯沢の雪に驚いたのであった。

 ○写真1・・・駅舎自体がもうSL! 何ともすごい駅舎を作ったものだ。真岡にて。
 ○写真2・・・東武日光駅近くで撮った1枚。いい感じで山に雪が積もっている。
 ○写真3・・・こっちはJR日光駅。洋風の造りでおしゃれな駅である。
 ○写真4・・・お世話になった足尾町営バス。私が降りて、もう客はゼロ。


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