★北海道雑記
■北海道とコーヒー
北海道を旅していてよく出会うのが「MMCコーヒー」の看板です。
関西だと「UCCコーヒー」がおなじみですが北海道は「MMCコーヒー」です。
北海道史に初めてコーヒーが登場するのは120年以上むかしの安政三年(1856)。
帝政ロシアに対する日本防衛の最前線として徳川幕府は奥羽六藩に命じて北方警備にあたらせているが、このとき宗谷警備の藩士がコーヒーを飲んでいます。ただし、北辺のつれづれを慰めるといったのどかなものではなく、野菜不足からくる浮腫病の予防として幕府が配ったようです。
コーヒーの起源のひとつに西暦1000年頃、バクダッドの医学者ラーゼスがエチオピアに産する自然生の樹の実バン(BNN)についてふれたのが文献に残る初のものだというのがあります。
幕府が配ったのもこの「古来」の用法に従ったもので、豆につけた「用ひ方能書」には
「和蘭コーヒー豆。寒気を防ぎ湿邪を払」とあります。
このコーヒーはおそらく函館に入港した外国船によってもたらされたと思われます。
鎖国日本に穴をあけた三開港場のひとつの函館を持つ北海道には、維新前から欧米の文物の流入が盛んで、わが国きっての先進地であったのでした。
■北海道気質
北海道人のもとをたどれば全国に出身地が散らばります。お国言葉では隣同士、話が通じないことがあるので自然に共通語ができました。これは標準語に近くて、しかもどこか違ういくらか語調の重い言葉です。東北出身者が多いからという理由もあるのでしょうが相手にわからせるためにゆっくり話していたのが習慣となって独特の「北海道語」を生んだのではないでしょうか。
北海道を旅していて感じるのは「北海道の人はやさしい、暖かい」ということです。思いやりのあつさはその言葉にも表れているように北海道の歴史・風土と切り離しては考えられません。しかしジメジメしたものではないのも北海道の特色のひとつです。地縁、血縁でがんじがらめになっている例が少なくない道外府県の田舎と違った自由が北海道にはあるようです。
■道産地酒
北海道の酒の特徴は香味が若い。やや辛口だが、品質としては兵庫ものや宮城ものに勝るとも劣らない品質で小メーカーものに意外に芳醇な酒があるそうです。
道産酒ご三家といわれるのが「北の誉」(札幌)、「千歳鶴」(札幌)、「北の錦」(空知管内栗山町)です。
明治34年に発売された「北の誉」は本州市場でも一万石の大台を越え、地酒というよりナショナルブランドとして定着しています。
「千歳鶴」の日本清酒は昭和3年に道内の有力酒造業者が結束して生まれ、北海道を代表する日本酒として親しまれています。
「北の錦」の小林酒造は栗山町で生まれ育った地場産業でその味に対するファンの層は厚いです。
近年はこの「ご三家」に「男山」(旭川)が加わっています。江戸銘酒づくし番付にも載った由緒ある酒銘を受け継ぎ国際コンクールで「清酒として初の金賞を連続受賞」して道産酒の酒格向上に気を吐いています。
ちなみに私が定期的に訪れる根室には「北の勝」があります。
参考文献:各駅停車全国歴史散歩 北海道
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