このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ハンガリー語


ハンガリー語はフィン・ウラル語系の言語で周囲のどの言語(スラブ語のスロバキア語・ウクライナ語・セルビア語・クロアチア語・スロベニア語、ラテン語系のルーマニア語、ゲルマン語系のドイツ語)とも関係がない。フィンランドのフィン語とは遠戚関係にあるが、英語とペルシャ語がともにインドヨーロッパ語族に属していて何らかの関係があるのと同じぐらいの関係の薄さである。もちろん両言語は互いに通じない。

ハンガリー語に近い言語としてはロシア共和国内のハンティ語、マンシ語があるが、話者数は少ない。

ハンガリー人の起源はウラル山脈の辺りだといわれ、10世紀に現在の位置に定住するまで長い間移動してきたと考えられる。その間に様々な民族と接触を持ったことが、語彙を調べればわかるという。スラブ語系の語彙やチュルク語系の語彙が多く採り入れられた。近代に入ってからはドイツ語やイタリア語、フランス語からの借用語が多く、最近では英語の影響も大きい。

方言の地方差は日本ほどではない。しかし、現在のハンガリー国外に取り残された(スロバキアやルーマニアの)ハンガリー語はそれぞれの公用語に影響を受けざるを得ない状況にある。

ハンガリー語の文法は複雑ではない。接尾辞が重要な役割を果たしている。だが、分離する接頭辞があったり、関係代名詞があったりするのはインド・ヨーロッパ語の影響だろうか。アルタイ諸言語のように日本語的な発想ではないとはいえ、英語よりはとっつき易い言語である。

発音は基本的には字面通りでよい。ÖやÜはドイツ語と同じ。ÕÛÖÜの伸ばす音。Aは「あ」と「お」の間の音。Áは日本語の「アー」に近い。Eは日本語の「え」に近いが、Éは「え」と「い」の間の長い音になる。
子音はjとlyがヤ行の音、sはシュでszが「S」の音(ポーランド語とは逆なので注意)、zsはジュ、cはツを表す。難しいのはgyで、これはジュとギュの間ぐらいの音を表す。gyufaはギュファでもジュファでも通じない。tyはgyの濁らない音である。

(例)
つづり読み方意味
gyógyszertárジョージセルタール薬局
villamosヴィッラモシュ路面電車
gulyáslevesグヤーシュレヴェシュグヤーシュスープ
rendõrségレンドゥールシェーグ警察
törülközõトゥリュルコゾゥータオル

ハンガリー語の特殊性のためハンガリーでは英語が通じにくいというが、ブダペストでは若い人の多くは英語かドイツ語を話す。日本人よりもずっと上手いことが多い。というのもハンガリー語は国外では通じないのでビジネス上はどうしても外国語が必要になる。外国語ができないと就職ができないという事情があるからだ。もちろん田舎に行けば行くほど外国語は通じなくなる。これは何処の国でも同じだろう。

日本でハンガリー語を勉強したいというなら、大学では大阪外国語大学ハンガリー語学科があるのみ。東京外国語大学や千葉大学でもハンガリー語の授業が開校されている。東京では大学書林語学学校と朝日カルチャーセンター、日本ハンガリー友好協会でハンガリー語のコースがある。
独学をするなら「エキスプレス ハンガリー語」(早稲田みか著 白水社刊)が使いやすい。しっかり勉強したいなら「ハンガリー語1・2」(岩崎悦子/浅津・K・エルジェーベト著 大学書林刊)がいいだろう。ハンガリー語4週間という本は使いにくい。
ハンガリーでも大学や語学学校で外国人のためのハンガリー語講座が開講されている。

ハンガリー語に関することは、 ここをクリック してください。発音も聞けます。

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