このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
ある設計事務所さんとのやりとり(設計事務所の台所事情) |
ハウスメーカーで建築を考えていた頃、実は基本設計に関する部分と構造以外の使用建材、インテリアコーディネートに関する部分、照明計画を別途建築士にお願いしようと考えていました。理由はハウスメーカーの建築士にそれらの提案を求めるには力量不足だと感じていたからです。 しかし、実際はこのような一部だけの業務を引き受けてくれる事務所はなかなか無く、無理かな〜って思いだしたとき、反応してくれた事務所さんが1軒出てきました。反応と言っても、引き受けるというものではなく、お断りだったのですが、丁寧に断る理由を言ってくださいました。 その後色々やり取りをしまして、その間に、積水ハウスの解約を考え出したもので、工務店をはじめ、設計事務所も視野に入れ何人かの建築士の方と家づくりについてお話しました。 その中で、やはりこの人だったら面白い家が出来るかな?と感じまして、今度は新築計画の仕事としてやり取りをさせていただきましたが、色々難しい事情がおありのようで、最終的にはお願いすることが出来ませんでした。 以下、メールの主旨になってしまいますが、紹介させていただきます。これを愚痴と取るかどうかは個人の判断にお任せしますが、適正な設計監理料とは?という問題、また、客側の設計事務所との関わり方など、様々な背景を抱えており、考えさせられる内容でした。ですので、無礼を承知で掲載させていただきました。 −設計事務所さんから筆者へのメール(主旨)− 私が設計した住宅のほとんどは、なんらかのメディアで紹介されています。しかしながら、現実は、それでも仕事にはつながりません。10年間やってきましたが、純粋に雑誌を見て問い合わせがあり、私に設計を依頼された方は1人しかいません。 10年間ありがたいことに、仕事が切れたことは一度もありません。が、それは、1件にたずさわる期間が長いからであって、とても生活は苦しいです。設計監理料が300万円だとしても、それで最低1年、時には2年3年と携わっています。ですから、公的融資も受け、アルバイトも続けてきました。 住宅の相談にみえた場合、今までですとかなりの高い率で、契約して参りました。ところがこの数年、何組もの方々が私の事務所に訪れて、1日かけて話を聞いていきましたが、その後はなしのつぶてです。インターネットからの問い合わせで、実際にお会いした場合、やはり掲示板と同じような軽いのりなのか、やるとかやめるとか、それさえも何もありません!しばらくして、電話をしてみると、「実はハウスメーカーと契約しました。」という例も多々あります。(私は、しつこい営業は一切やりません) そんなわけで、私の生活はますます苦しくなりました。世間一般の人のように、ゴルフをするわけでもなく、パチンコや競馬などギャンブルをするわけでもなく、洋服にお金をかけるわけでもありません。(たまにお酒を飲みに行く程度です)でも、お金が全く足りません。昼間、設計事務所と、講師で目一杯働いて時間がありませんので、それ以上働くとしたら、あとは夜しかありません。 背に腹は変えられず、夜もアルバイトを始めました。人間の限界を実感しました。これでは、病気になってしまいます。 11月まで忙しい。と、書いたのは、一件契約しそうな方がありましたので、その設計契約が決まれば、夜のアルバイトはやめることになっていたからです。ところが、その方も、結局、積水ハウスと契約してしまいました。もうダメです。しばらく、設計事務所の方を休んで、融資等の返済だけに集中することにしました。 3年ぐらいして、生活の安定が取り戻せたら、また、設計活動に入りたいと思います。そもそも、設計の仕事だけでも、何日も徹夜をして、一生懸命働いているのに、それでも生活ができないというところに問題があります。私だけでなく、正しい設計のやり方をしている設計事務所は皆さん生活に困っています。工務店と契約をして、確認申請手数料をもらっている設計事務所の方が、潤って安定しています。そして、世にある設計事務所のほとんどは、そのやり方をしています。私は、正直者が馬鹿を見るというのが一番嫌いです。なんで、正しいやり方をしている設計事務所の方が生活に困るのか、理解できません。 と、いうわけで、金平糖(本当は本名)さんには申し訳ありませんが、お役に立てない状況になってしまいました。候補の工務店さんに期待を託したいと思います。是非、良い家を造って下さい。それは、日本の良い文化を造ることになります。よろしく御願いいたします。 |
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