このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

木のこと家のこと 

ローコスト住宅(設計手法、施工方法からみる) 

 設計手法や施工方法からコストダウンをはかるには・・
一番手っ取り早いのは、身も蓋も無い話をすれば、家の面積を小さくすることだと思います。動線的なものや住み心地などを犠牲にしない範囲で、ゆとりのスペースや無駄なスペースを極力排除するのがベストですね。
 とは言っても、家族構成や家への憧れもあるため、なかなかそう割り切っていられない部分もあると思います。事実自分もそうでした。
 そこで色々知恵を絞って設計段階からローコストをはかる訳ですね!

☆ローコストの手法で既に一般的になっていると思われるもの
1.家の形は出来るだけ正方形になるようにプランニングする
 やはりシンプルな形状をしていた方が安くあがると思います。平面的に複雑なプランは柱の本数や壁の量も変わってきますし、基礎や屋根などの施工もかなり割高になってしまいます。

2.壁の量(部屋数)を減らす
 LDKやリビング階段などがこれにあたると思います。もちろん生活スタイルの変化や流行などにも影響される部分ですが、リビング階段などはローコストを図るビルダー側が仕掛けたものなのか、顧客層が望んだものなのかはよく分からない部分もあります。
 間仕切り壁を10㎡減らすと、仕上げ部分だけで
 壁下地(胴縁) 700円×20=14000円
 石膏ボード貼 1300円×20=26000円
 ビニルクロス 1000円×20=20000円
で、計6万円の削減になります。
ただ、既に胴縁を施工せず直接石膏ボードを貼る場合もかなり定着していますので、注意が必要です。
最近は「壁倍率5倍」といった大きい強度の構造壁が採用できますので、なお一層オープンな間取りが可能になっています。

3.仕上げ材を省く
 一例ですが、最近流行の「デザイナーズハウス等」で天井材の無い家を目にすると思います。これもローコストですね。わが家も同様に天井を貼っていません。
家一件分で天井を貼らない(2階の床=1階の天井)場合、33坪(100㎡)の家ですと・・
 天井下地   5500円×100㎡=550,000円
 石膏ボード貼 1300円×100㎡=130,000円
 ビニルクロス 1000円×100㎡=100,000円
 ロックウール敷込み 1300円×100㎡=130,000円
で、
90万近い費用が削減されます。ただ、プレハブ工法の鉄骨造などはちょっと削減が無理な部分ですね(^^;)わが家の場合は写真のように2重床のような構造になっていますが、根太レス工法などでは、針葉樹系の2階床下地材をそのまま現しにしている(完全に天井材を省いている)場合もあるようです。
 また、天井を省くことによって、階高を低く抑えることが出来るため、わが家の場合同じ段数でも勾配がゆったりした階段にすることが出来ます。



4.その他いろいろ
 細かいところでいけば沢山挙げられると思うのですが、パッと気が付いた項目のみ箇条書きしてみます。
・構造用合板の採用
 安価で施工に手間がかからず、しかも構造的にかなりの強度が見込めるため、今や切っても切れないと言っても過言でないほど。住宅建材の王様だと思います。
 外壁・屋根・壁・床下地、また最近は仕上げ材になど、かなりの面積を占める。

・内装材
 窓枠や床材などの部材は、大工が材料から加工するより建材メーカーが出している既製品を採用した方が安くあがる場合が多い。

・建具
 これも既製品の方が安くあがる場合が多い。基本的にはフラッシュ戸より框戸の方が高くなるので、ローコストでいくならフラッシュ戸の方が選択肢としては良い。後は好みの問題。

・窓
 ローコストな住宅を目指すなら、採光を効率よく行い、極力窓(開口部)を減らすのが費用削減に繋がると思います。

・屋根
 瓦よりスレート系・カラーベスト系の方が色のバリエーションも豊富で安価。
ただし最近また問題になっている石綿(アスベスト)入りの物が現在も流通しているので注意が必要。

・居住年数
 車で「乗りつぶす」という観念があると思いますが、出来るだけ長く住むことにより、1年当たりに換算した消費額を減らすことが出来ると思います。


☆とある家の建築費内訳(実在する家ではありません)
参考までに家の工事費の内訳を作ってみました。

建物の想定としては
都市圏郊外に建てられる木造2階建て住宅
用  途 専用住宅
建築規模 建築面積 約21坪
       1F 約21坪
       2F 約19坪
総工費  約2380万円(税込み)

外 部 屋根/コロニアル葺き
    外壁/サイディング12mm、アクリルリシン吹き付け

内 部 床/和室:畳、玄関:磁器タイル、その他銘木フロアー
    壁/和室:新じゅらく、台所:磁器タイル、その他:ビニルクロス
    天井/和室:杉化粧天井板、その他:ビニルクロス

    建具
    (外部)玄関ドア:欄間付きアルミ親子ドア、勝手口:アルミ片開き戸、
        窓:カラーアルミサッシ
    (内部)出入口戸:、木製片開き・片引き戸、戸襖、荒組障子、
        収納:襖・折戸

設備機器 システムキッチンI型幅2550mm、食器洗乾燥機、
     コンビネーションレンジ、
     吊り戸棚、ユニットバス:1坪用1616mm、バリアフリータイプ
     洗面化粧台:幅750mm、水栓・ミラーキャビネット付
     玄関収納、床下収納、便器:節水型セミサイフォン便器



 諸経費まで含めた本体価格は、坪あたり約58万円です。これに約110万円の消費税がついて、総工費約2400万円となっています。

 やはり、本体費用では躯体(骨組み)にかかる割合が多いですね。続いて住設機器が続きます。どの辺のコストを抑えるかはそれぞれだと思いますが、同じ物でも仕入れ値や手間で左右されますのでトータル的なコストダウンの考え方が必要ですね!
 効率良いローコストとは一カ所でドカーンとコストを削減するのではなく、色々な部位で少しずつバランス良くやっていくものなのだと思います。


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