このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

Poljot機械式クロノグラフ
Shturmanski SS-18

010910

とあるロシアカメラの本で
その存在を知ったクロノグラフ。
97年ロシア製。
手巻き23石クロノグラフムーブメント「POLJOT.3133」搭載。
30分積算計付きストップウォッチ機能、日付表示付き。
『シュトールマンスキー』

『シュトゥールマンスキー』の意味は
ちょっとわからないのですが、
『シュトゥールマン』は、
舵手とか、航法士とかいった意味合い(Navigator?)のようです。

直胴な厚いシリンダー型のケースとか、
相当ごつい強そうなデザインも
かなりいいカンジなのですが。
この時計の魅力なのは、
その素材の由来なのです。

材質はチタン。ソ連といえば、チタンです。
そしてこのクロノグラフのケースは、
旧ソ連の大陸間弾道ミサイル「SS-18」の
核弾頭を納めていたチタン製の弾殻から
削りだされたものなのです。



文字盤周囲に刻まれているのは、
ミサイル名の「SS-18」、
そして「Made from Soviet Rocket」といった意味合いのロシア語。

SS-18は、冷戦時代のソ連の主力戦略核ミサイルであり、
旧ソ連の先端技術の結晶ともいえるものでした。
しかし冷戦は終結し、1991年の米露両国による
第一次戦略核兵器削減条約(START1)と
続く第二次戦略核兵器削減条約(START2)に基づき
SS-18は撤廃される事となりました。

ミサイルのロケット部分は、
宇宙ロケットとして衛星打ち上げ等の平和的利用が可能です。
そして、核弾頭は時計のケースとして再利用する。
これも一つの平和利用なのでしょう。

チタンというと、もっとブラウンっぽい色合いだと思っていたのですが、
これはガンメタリックというか、つや消しのグレーのような色です。
ソリッドなカンジでなかなか金属指向野をくすぐられます。



あとロシア語はやっぱりカッコいいですね。
とりあえず(僕は)読めないので、文字としての意味より先に
まずデザインが脳に入ってくるというか。



6時位置にある意匠は、
最初はなんだかよくわからなかったのですが、
どうやら投下されてる爆弾らしい(恐)
レッドスターをちゃんと赤く入れているあたり、
丁寧でいいカンジです。

時計としての精度はなかなかのものです。
しかし、ストップウォッチ機能はボタンがやたら重くて、
怖くて使えないです。
押したらボタン戻ってこないし(泣)

あと、妙にリューズがめり込んだデザインになってて、
見た目はカッコいいんだけどぜんまいが巻きにくいとか。
月末になるとカレンダが二日進んだり進まなかったりするとか(笑)



裏から。「ТИТАН」は「TITAN」です。
「3気圧防水」って書いてあるっぽいのですが、
これはどうもウソらしい(笑)

ちなみに純正のチタン色ベルトがあるのですが、
残念ながら手に入れることができませんでした。

さて。このメーカー「Poljot」。
ソ連時代は「ソビエト第一時計公社」といい、
主に空軍パイロット向けの軍用時計などを
Poljotのブランド名で製造していました。
ソ連の宇宙飛行士ユー・リー・ガガーリンが
ボストーク1号で人類史上はじめて宇宙に行ったときに付けていたのも
Poljotの時計でした。

この時計が搭載しているムーブメント「POLJOT.3133」は、
じつはバルジュー社の「Valjoux Cal.7733」というムーブメントのコピーなのです。
もっとも、まったくそのままのコピーというわけではなく、
テンプの振動数を上げたりという
謎の改良が施されているようです。

また、Poljotは、やたらたくさんのデザインの時計を出してるのですが、
クロノムーブメントはどうも2〜3種類くらいしかないみたいで、
ほとんど全部、横並び2眼の6時位置日付表示です。

しかし、「なんちゃってBreitling」とか、「なんちゃってFOLTIS」とか
作ってるのはちょっとどうかなあ。と思うのですが。
できればオリジナルデザインで勝負してほしい。
だってその方が絶対カッコいい。
モノとしても姿勢としても。

でもそれも難しいのかな。

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