このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 国語日記 

『憲政』

 元々、「憲政」とは「憲法に基づいて行われる政治」を意味し、戦前の護憲運動では「憲政擁護、閥族打破」といったスローガンにも用いられた。だが、現在では、国会の前にある「憲政記念館」の他は、時々新聞に「憲政」という単語が載る他は、あまり耳にしない言葉になってしまった。
 ところで、上記のように、憲法とはそもそも国政上の最高規範として、政治を実行するための道具としての機能(制限規範)を備えているわけだが、これを研究する「憲法学」は、戦後我が国憲法学会において純粋法学(法学を、政治その他の価値判断から切り離して独自の完結した学問領域と捉える立場)的な傾向が強かったためか、条文解釈学に終始しているきらいがある。しかし、道具としての憲法を考究するのであれば、それが使われる場としての政治、即ち「憲政」の理解無くして妥当な議論をすることは出来ない。憲法(理想)と政治(現実)は独立に存在するのではなく、憲法は政治を規定し又政治は憲法を規定するという相補的な関係にあるはずである。であるならば、今日の憲法改正問題に対応して学問的な分野で求められるのは、「憲法学」よりもむしろ「憲政学」の見方ではないだろうか。

中島 健(なかじま・たけし) 大学生


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