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国語日記
『女』
人間も動物の一種であるが、人間様の性別については「雄」「雌」とは言わずに「男」「女」と言う。しかし、これも「女」「女性」「女子」「婦人」と言い方は様々で、それぞれニュアンスが異なるから面白い。
よく、駅のトイレ等に「女子トイレ」等と書いてあるが、これは決して「Girls' toilet」ではなくて、「Women's」という意味である。そんなことは分かっているが、学校ならともかく、どうしても「Girls」に読めてしまう。その点、多少洒落たところでは「紳士(Gentlemen)」に対応して「婦人(Ladies)」と書いてあるが、これをカタカナで「レディース」と書くと全然違う意味になってしまう。
第一、「婦人」は、昔は「婦人警察官(今でも言うが)」、「看護婦」、「家政婦」、「主婦」、「婦人課」、「自由民主党婦人局」、「婦人参政権」、「婦人差別撤廃条約」、「婦人補導院」等と使ったが、「女(おんな)」+「帚(ほうき)」=「婦」と書くのが面倒くさいのと(?)、「婦人」はいかにも「主婦」っぽくて今流行りの「ジェンダーフリー化」に抵触したのとで、現在は多くが「女性」と言い換えられている(「婦人差別撤廃条約」も、訳語によっては「女子差別撤廃条約」「女性差別撤廃条約」とされている)。しかし、「婦」がダメなら、その内、「女坂」、「女の腐ったような・・・」、「嫁」、「娘」、「転嫁」、「婚姻」、「女房役」等も「女性差別語」として糾弾されるのであろうか・・・もっとも、「婦人」とは「大人の女性」(つまり「婦人」+「女子」=「女性」)という意味だから、必ずしも正確な言い換えではないのだが、逆に「婦人」というと高齢の女性を連想させるので嫌われたのかもしれない。40代、50代のマダム達を相手にするデパートでは「婦人服売場」という言い方が一番似合うし、「女性」というと20〜30代、「女子」というと10代後半、「少女」というと10代前半を連想する。
20歳未満の者が犯罪を犯すと、それが「少年」であっても「青年」であっても、あるいは「少女」であっても「少年法」が適用され、警察の「少年課」が捜査に乗り出し、「少年院」に送致される。「少年」犯罪者には「少年」が多いからかもしれないが、では「少女」のための「少年院」はというと、「○○女子学園」といった名前になっている。とはいえ、売春、薬物その他の犯罪を犯して補導されてきた「少女」達は、「少女」というよりは「女子高生」とでも呼んだほうがよいくらいの年齢であろう。この年代の女性を表わす語としては、他に「娘」と「コギャル」があるが、その言葉から受ける印象は全く異なる。中島 健(なかじま・たけし) 大学生
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