このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 国語日記 

『森政権を支える』

 この2月、予算案の衆議院通過を前にして、森善郎内閣に対する支持率は一気に1ケタ台に降下した。ことこの状況に至っては、連立を組む公明党・保守党は勿論、自民党内他派閥や地方組織からも「森おろし」の声が上がっており、退陣は必至と見られている。そればかりか、3月2日にはアメリカの景気減速も影響して東京証券取引所の平均株価がバブル以来の最安値を更新(1万2261円80銭)して1万3000円台はおろか1万2000円台の維持すら危うい状況になり、3月中に予定されている日米首脳会談についても日程が決まらないままになっている。
 しかし、この段階でも、当の首相本人は政権続投に強い意欲を見せており、また亀井静香・自民党政調会長も「森政権を支える」ということを連発している。亀井政調会長を見ていると、森首相が退陣した後でもまだ「森政権を支える」と口ずさんでいそうではないか!私には、今年の流行語大賞にはこの「森政権を支える」というフレーズが入賞するのではないかとさえ思える。これだけ不人気な人を敢えて「支える」と強調するところに、ある種のユーモアすら感じられてしまうのである。
 支持率1ケタ台でなお政権の座にある状態というのは正に「独裁」であり、こうした状況に陥れば、諸外国では革命や国軍によるクーデターが起きてもおかしくないであろう。それでも、フィリピンのエストラーダ前大統領や新ユーゴスラビアのミロシェビッチ前大統領のようにのようにデモ隊から圧力をかけられたり、ルーマニアのチャウシェスク元大統領のように銃殺されたりしないのは、それだけ我が国において法治主義と穏健な民主制とが根付いている証拠ではある。

中島 健(なかじま・たけし) 大学生


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