このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
国語日記
『さいたま市』
5月1日から、埼玉県の浦和市・大宮市・与野市の三市が合併して、人口103万人の政令指定都市「さいたま市」が誕生する。既に、旧国鉄大宮操車場跡地には「さいたま新都心」と銘打ったビジネス街が建設され、首都圏を管轄する中央省庁の地方支分部局(関東地方警察局など)などがここに移転してきている。
ところで、この「さいたま市」、一体どうして平仮名書きなのであろうか。三市合併協議会が行なった新名称の公募では、漢字の「埼玉市」がだんとつ1位になり、2位の「さいたま市」や合併三市の漢字一文字を繋げた名前(「浦野宮市」等)を大きく引き離した(中には、「なかよ市」なるものもあった)。しかし、合併協議会は何を思ったか2位の「さいたま市」を正式名称に決定。JR京浜東北線の駅名も「さいたま新都心」と平仮名になった他、NHK浦和放送局も「さいたま放送局」に名前を変えた。合併協議会当局は平仮名の名称を採用した理由を公表していないが、おそらくは平仮名の名称のほうが新鮮かつソフトであり、親しみやすいと考えたからであろう。かつて、平仮名は女性が主として使っていたことも、「平仮名のソフトイメージ」に貢献しているのかもしれない。しかし、地方公共団体の名称は市役所の私物ではなく、周辺地域を含めて多くの住民・企業が引用する公共財なのであって、一時期のイメージで左右できるような軽いものではない。「売上増進」を主目的として活動する私企業が自らのCI戦略の一環として社名や商品名を変更するのとは、訳が違うのである(行政はイメージによって動くものではない)。例えば「浦和地方裁判所」は、市名が変更されれば「さいたま地方裁判所」になろうが、「さいたま地裁」では如何にも「軽い」という印象を拭えない。
埼玉市(私は平仮名の「さいたま市」に反対なので、以降はこのように表記させて頂きたい)の新しい市長を決める選挙がまもなく行なわれるが、新市長にはぜひ「さいたま市」の「埼玉市」への変更を公約として宣言してほしい。中島 健(なかじま・たけし) 大学生
製作著作:健論会・中島 健 無断転載禁止
©KENRONKAI/Takeshi Nakajima 2001 All Rights Reserved.
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |