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国語日記
『閣下』
「若者の敬語の乱れ」が指摘されて久しいが、そもそも我が国においては、敬語は大人の世界でも(戦後特に)徐々に簡易化・省略化の傾向を歩んできた。一例として挙げられるのが、「閣下」という称号(敬語)である.。
現在でも天皇・皇后・皇太后・太皇太后には「陛下」、皇族には「殿下」の称号を付することとされているが(皇室典範=昭和22年法律第3号第23条「天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。」「前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。」)、「閣下」という呼称はそれより一段低く、勅任官(旧憲法下において、天皇が直接任命する官吏)以上の文官と将官(少将)以上の軍人に対して使用されていた。ということは、現在であっても認証官(内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、大臣政務官、大使等天皇の「認証式」を経て任命される公務員。厳密な意味では戦前の勅任官とは異なる)や将補以上の自衛官に対しても使ってよさそうなものだが、現在では、日本語では外交辞令以外ではほとんど使われていない。ただ、英語ではなおこうした敬称が残っており、例えば外国の首相・外相や駐日大使・公使に対しては「Mr」の前に「His Excellency」乃至「The Right Honourable」とつけることになっている。中島 健(なかじま・たけし) 大学生
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