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三軒茶屋
このところ、「小泉人気」の高まりが著しい。勢いにのった自民党は東京都議会議員選挙で勝利した他、7月12日に公示された参議院選挙でも優勢が伝えられている。また、小泉首相や竹中平蔵経済財政担当相らは、「今改革をしなければ、後でより大きな痛みを受ける」として「聖域なき構造改革」の必要性を説いている。
私は、基本的に小泉現内閣を支持しているし、この人気の高まりを「独裁政治だ」「大衆人気政治だ」として批判する立場には与しない。但し、そうは言っても、首相や閣僚が吐く言葉の中には、多少気にかかるものもある。
例えば、上述の竹中担当相の言葉。今から半世紀ほど前、アメリカの対日石油禁輸措置を受けて対米戦争に踏み切るべきかどうか審議していた会議で、陸軍のある高級幹部は、当時の日本の置かれた国際的状況を指して「日本は瀕死の患者で、今大手術(戦争)をすればあるいは助かるかもしれないが、このままでは衰弱するだけだ」と言ったという。当時の国民世論が、長引く昭和の不況に無為無策だった政党政治を批判し、軍部を比較的支持していたという状況と併せて、何と今の日本と似ていることか。なるほど、我が国の景気の状況は、竹中担当相が言うように「痛みを伴う改革」が必要なのであろう。ただ、それが「対米戦争」のような結果にならないためには、綿密かつ用意周到な計画とあらゆる英知の結集、更には「痛み」に備えた社会保障制度の整備が欠かせない。その意味では、これから行なわれる「構造改革」に関して、小泉首相及び竹中担当相の背負うべき責任は、戦争指導者なみに重い。
また、真珠湾奇襲攻撃を成功させて一躍国民的人気を博した当時の山本五十六連合艦隊司令長官は、参謀が「長官の故郷の長岡では、(真珠湾攻撃成功の)祝賀の提灯行列が行なわれたそうです」と言って祝福したのに対して、一言、「今にな、その連中が俺の家に石を投げに来るよ」と答えたという。総裁選挙・閣僚人事で「真珠湾攻撃」なみの戦果を挙げた小泉首相だが、横須賀(小泉首相の地元)で提灯行列が続くのか、それとも石を投げられるような結果になるのかはまだわからない。中島 健(なかじま・たけし) 大学生
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