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国語日記
『看護師』
報道によると、自由民主党は6日までに、「看護婦」や「保健婦」等男女で職名が異なっている医療職について、名称を統一するよう改める法案の提出を決定した(公明党、保守党も賛同)。それによると、現在の「看護婦」と「看護士」は「看護師」に、「保健婦」と「保健士」は「保健師」に、「准看護婦」と「准看護士」は「准看護師」に、また女性しかいない「助産婦」も「助産師」に改めるという。法案準備をしてきた清水嘉与子・参議院議員は「専門家らしい名称にしたい」としているが、民主党内には「助産婦には女性しかなれないのだから、名前を変える必要は無い」との意見もある。
本法案の提案者は、このような名称を「男女で異なる名称を統一するため」と説明する。しかし、「看護婦」や「助産婦」というのは法律上の資格の名称であるとともに国語の単語でもあり、国民的な議論が無いままに「看護婦」を「看護師」に変えてよいのか疑問が残る。「白衣の天使」等と呼ばれ、病院で患者の細かい世話をしてくれる女性は「カンゴフサン」であって「カンゴシサン」(男性は「カンゴシサン」だが)ではあり得ないし(無論、「カンゴフサン」の中には「准看護婦」もいるが)、「看護士」ではなく「看護師」という表現にも違和感がある。加えて、日本語はほとんど全ての言葉に性別が無いが、欧米の言語では男性形・女性形で別々の名詞が存在することはめずらしくなく、男女で名称が異なったからといってどうということは無い(例えば、「アクター」「アクトレス」)。更に、全ての名称に「師」がついているのは医療上の資格名称として「医師」「歯科医師」「薬剤師」等とあわせたのだろうが、独立開業する「医師」「歯科医師」「薬剤師」「助産師」「保健師」はともかく、そうではない「看護婦」や「准看護婦」に「看護師」だとか「准看護師」といった大袈裟な名前がついているのも違和感の原因の一つであろう(ちなみに、法役務上の資格は「弁護士」「司法書士」「行政書士」「税理士」「弁理士」等「士」で統一されている)。本改正案の再考を求めたい。中島 健(なかじま・たけし) 大学生
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