このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

映画「キャッツ&ドッグス」を見る
〜究極のエンターテイメントか犬派の陰謀か〜

中島 健

 ローレンス・グータマン監督作品『キャッツ&ドッグス』を見た。
 舞台はアメリカの住宅地。自宅で犬アレルギー薬を開発しているブロディー教授は、研究に没頭するあまり家族サービスをサボり中。一方、長男のスコット君はブロディー家の飼い犬が猫達によって誘拐されてしまった為、新たなペットとしてポケット・ビーグルのルーを迎えるが、今一つなじめない。だが、実はこの平和なブロディー家は、犬アレルギー薬の完成を阻止し、人間を再び猫の支配下に置こうとする、邪悪なシャム猫ミスター・ティンクルス率いる「ネコ解放戦線」の攻撃に晒されていた!教授の研究を妨害しようと特殊部隊のニンジャ猫やロシア猫を繰り出してくる「ネコ解放戦線」と、それを阻止し研究を守ろうとするルー達「イヌ諜報センター」のメンバー犬達。犬が勝利し、「人間のよき伴侶」としての地位を守るのか。それとも猫が勝利し、人間を暗示にかけて支配してしまうのか。この映画は、ハリウッドの最新映像技術を駆使した、究極の動物スパイアクション映画に仕上がっている。実際、映画冒頭から30分、観覧していた私はもう笑いっぱなしで、テロだの不況だの暗いニュースが多い昨今、『キャッツ&ドッグス』はそうしたもやもやを一挙に吹き飛ばしてくれる痛快エンターテイメントだ。特に、犬や猫のクセを使ったジョークが面白く、犬派であっても猫派であっても、家族で楽しめる映画であると言える。
 しかも、そうしたエンターテイメント映画であるにも関わらず、この映画には、「仕事」と「人間のよき友」という2つに悩むルーや、「よき研究者」としての自分と「よき父親」としての自分に悩むブロディ教授の姿も描いており、単なるおちゃらけたお笑い映画ではない。このあたりが、日本の映画とハリウッド映画の「厚みの違い」であろうか。アクション面でも、「007」に匹敵する映像技術に手抜かりは無い。

▲猫(映画の映像ではありません)

 もっとも、この映画については、「猫が敢えて醜く描かれている」「犬派の陰謀だ」といった批判も存在する。確かに、登場する「ネコ解放戦線」の猫達はいずれも邪悪な顔つきをしており、あの手この手で犬達を落としいれようとしている。「猫は自然のままで一番かわいいのであって、メカやCGで表情を悪く作っている」という声もある。ただ、犬が群を作って行動するのに対して猫が個別行動を好むことを反映し、犬側の組織がしっかりしているのに猫側のそれがわりとイイカゲンになっており、性格の違いを描いているとも言える。
 いずれにせよ、この映画は動物好き、アクション好き、カワイイモノ好きには絶対オススメである。

中島 健(なかじま・たけし) 大学生


目次に戻る   記事内容別分類へ

製作著作:健論会・中島 健 無断転載禁止
 
©KENRONKAI/Takeshi Nakajima 2001 All Rights Reserved.

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください