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国語日記
『ストーカー行為』
2年前、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(ストーカー規制法、平成12年法律第81号)が成立した。元恋人や元配偶者につきまとったり脅迫電話をかけたりするストーカーは近年急に注目された問題であり、殺人事件に発展するケースやそれに対する警察の対応の不備が出たことも踏まえて、急遽立法された(警察は「民事不介入」が原則なので、権限が曖昧であるが故に男女関係のこじれ全てに口出しするわけにもいかなかった)。この法律第2条にはその定義が書かれているが、公明党が宗教勧誘行為を規制の対象から明確に外させるようストーカーの動機を「恋愛」に絞ったので、恐らく我が国近代法史上はじめて「恋愛感情」なる言葉が条文の中に使われることとなった。「行政」(警察行政)と「司法」(刑事警察)のスキマを埋めるこうした法律は、他にも「 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律 」(ドメスティック・バイオレス防止法、平成13年法律第31号)がある。
ところで、このストーカー規制法であるが、この名前は奇妙だ。何故ならば、英語で言うと「ストーキング」をするのが「ストーカー」なのであって、「ストーカー行為」なる表現は本来存在しないからである。まるで、自動車の「運転」を「運転手行為」、建物の「警備」を「警備員行為」と表現するかの如くで、中途半端な英語化の悪しき影響の一つであろう。同法第2条第2項は「ストーカー行為」の定義をしているが、そうであれば「継続的つきまとい行為」といった言葉を作るべきではなかったか。※参考・「ストーカー行為等の規制等に関する法律」第2条(定義)
①この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
②この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。中島 健(なかじま・たけし) 大学生
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