このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

三軒茶屋

 インドとパキスタンの核兵器保有のニュースは、世界に衝撃を以って受け止められた。しかし、考えてみれば、これらの国々は我が国や西側先進諸国と違って、国民国家形成の課程(国家樹立の課程ではない)で激烈な戦争に遭遇したことはなく、いわば「痛みを知らない」のであって、互いに不信感を持ってしまうのもやむを得ないだろう。
 今日の世界において、核戦力なき国家は本当に真の意味での独立国家ではないというのは、全くの嘘ではない。少なくとも我が国のように、周辺に核保有国が存在し、しかもそれが民主政体をとっていない国家であってみれば、核兵器の脅威は現実のものである。問題は、我々日本人がそれを意識出来ないところにある。
 もっとも、今日の世界において、核戦力の構築が国家財政上、また外交上極めて大きなマイナス点である事も又、事実である。加えて、核兵器は(広島、長崎核攻撃を除いて)実戦に使用できない政治的な兵器であり、維持管理にも莫大な費用を要する。そういう意味では、「核兵器など使えまい」とばかりに、核保有国を舐め、強い態度に出ているのは、実は非核兵器保有国の方だということもできるのである。

中島 健(なかじま・たけし) 大学生


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