このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

三軒茶屋

 最近、中央・地方の別に関わらず、昨今の政府・地方自治体の財政悪化の責任を公務員(官僚)に負わせようとする風潮がある(例えば、幹部公務員のボーナスカットなど)が、全くもっておかしな話ではないだろうか。
 既に小学校の社会科で習ったように、我が国は民主政体国家であって、中央・地方ともにその主権、つまり運営の主体は国民にある。従ってまた、主権の行使については国民・住民の信任を得た議員が、全国民・全住民を代表してこれを行うわけだが、無論その結果は、主権者である国民が最終的に責任を引き受けることになる(議員の政治的責任は、国民の責任を特に顕在化させたものである)。つまり、現在の中央・地方政府の財政状況悪化も又、「選挙での選択を誤った」という意味で終局的には国民・住民にその責任があるのであって、国家・地方公務員をスケープゴートにして、行政失敗の責任をボーナスカットでとらせるなどというのは、実に筋違いな行為なのである(財政悪化の責任は、増税という形で主権者にもたらされるべきものであろう)。
 近年、公務員に対する批判は激しさを増すばかりだが、本来、行政は民主的に選出された首長によって制御されている(されるべき)ものであり、また公務員は、本来的には首長の政策を実施するための手段であり事務処理者である。従って、公務員の権限拡大云々といった現在の情勢は、ひとえにリーダーシップの発揮が不十分である首長等政治サイドの怠慢から生まれた問題なのであって、ただ「官僚憎し」とばかりにバッシングしてみたところで、何ら解決に貢献しないのである。

中島 健(なかじま・たけし) 大学生


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