このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
三軒茶屋
かつて(というか、今も存在するのかもしれないが)、小学校低学年の男の子はほぼ必ず、いわゆる「戦隊モノ」と呼ばれるヒーロー物のテレビ番組を見ていた。これは、概ね5人程度が赤、青、緑、黄、黒等の色とりどりの変身スーツを着、悪の組織と戦うというもので、パターンとして、①5人のうち2人は女性である、②敵は必ず兵力の逐次投入をして負ける、③大型空中母艦やロボットを保有している、④敵は異星人又は異種族であり、守るべきものが「地球」になっている、といった共通の特徴が見出される。しかも、5人のメンバーの中にはリーダー格はいるが、それはちょうど明治憲法時代における首相のようなもの(「同輩中の首席」)で、決してずば抜けて強いわけではなく、結局敵を打倒するためには5人の力を合わせなければならないようになっている(ロボットの操縦も又しかり)。
しかし、私がここで一つ指摘したいのは、「戦隊モノ」の敵側は必ず独裁政体を採用している、ということである(「悪の帝国〜」だとか、「悪の〜博士」等)。無論、そうした設定は特に深い思想的背景を以って登場したわけではあるまいが、それに対する「戦隊」側の集団性といい、主題歌等に高らかに謳われる「正義」の題目といい(中には、守るべき価値として「正義」の他に「美しい地球」だとか「自由」を宣言しているものもある)、分かりやすすぎる善悪二分論の原理がそこには貫かれている。そして、「悪」の側は必ず極悪非道の独裁政権で、地球の我々の生活(平和と民主主義か?)を妨害しようとするわけである(あるいは、私が知らない最近のシリーズでは、民主政体をとり「大衆民主主義的熱狂」によって地球を侵略しようと企てた敵もいたのかもしれないが)。
それにしても、この「戦隊モノ」のメンバーは、堂々と「正義のために戦う」=「武力を行使する」と宣言し、チーム名も臆することなく「戦隊」と称している。現実の憲法第9条と比べて何と健全なことだろうか!中島 健(なかじま・たけし) 大学生
製作著作:健章会・中島 健 無断転載禁止
©KENSHOKAI/Takeshi Nakajima 1999 All Rights Reserved.
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |