このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 インターラーケンの町は昨夜から雲に覆われ、朝から小雨もぱらついていた。グループの一人が「遠い日本から来たのに悔しい天気だね」と嘆いた。しかし私が「大丈夫、天界は3454米だから心配無用だよ」と言っても信用しない。どしゃ降りの雨でも雲海の上は快晴なのだ。3年前の秋にも小雨の中をインターラーケン東駅から出発した時、ユングフラウは快晴だった。
早朝割引乗車券アイガー北壁を行く
 バスでグリンデルワルドまで移動した私達グループは慌ててヴェンゲンアルプ(WAB鉄道)の駅構内で午前7時までの早朝割引乗車券を自動券売機で購入した。すぐにホームの黄色に濃緑色のスカートを履いた5両編成に乗車して進行方向右手窓に陣取った。電車は5分で次のグルント駅で方向転換して今度は左が山側になる。するとアイガーの北壁がよく見えるようになるのだ。やがて勇壮な岩肌が迫って来て、見上げると男性的なアイガーの嶺が聳えている。雨の心配は無くなっていて、約35分程でクライネシャイデック駅に到着した。標高1034米のグリンデルワルドから2061米のクライネシャイデックに登って来たのだ。
乗車した5両編成のWAB通常は2両編成
 冬場のクライネシャイデックはスキーに絶好の場所で、駅構内にまでスキーヤーが入って来てはスキーを履いたままでレールを横断している。また、夏場はハイキングコースもあって賑わう所である。隣接するユングフラウ・バーン(JB鉄道)に乗換えです。ここの鉄道はラック・レール式の1125ボルト三相交流電源方式で架線が2本あって電車のパンタグラフもダブルで珍しい。レール幅もWAB鉄道の800ミリからJB鉄道の1000ミリと広がり、今回は窓の広い新型車も増備されていて赤い車両で賑っていた。
JBの新型電車で窓が広い夏場は絶好のハイキングコース
 10分程山麓を走った後に長いトンネルを40分間走ってヨーロッパ最高地点の鉄道駅に向う。途中で二ヶ所、臨時に停車して観光サービスがあり、乗客は全員下車して山腹に開けられた窓からアイガー氷河を眺めます。トンネル内ではドイツ語、フランス語、英語、イタリア語、スペイン語に続いて日本語のユングフラウ観光説明があるが、新たに韓国語が加わって7カ国語になっていた。
 現在、私達が使用している太陽暦では4年に一度閏年があって2月29日が来るが、400年に3日が多くなる計算になり各世紀の最後の年は省かれる事になっている。しかし1日は400年に一度の世紀末に2月29日を加えることで暦を調整しているが、2000年が丁度それに該当しているので今年の閏年は400年に一度のチャンスと言う事だ。その為、ヨーロッパ最高地点の鉄道駅から記念のポストカードを友人に送ろうとユングフラウヨッホ迄やって来たのだった。その場所には日本から寄贈された赤い郵便ポストが設置されていて投函できる。
終点のレールストッパー400年に一度の記念カードと投函ポスト
ヨッホ地中駅の案内板最高地点で記念撮影全員で昼食会
 ユングフラウヨッホ駅は岩盤を掘った地中にあります。連絡通路で展望レストラン、氷河をくり貫いた「氷の宮殿」には氷像、山腹に出ると万年雪の雪原を踏むことが出来ます。スフィンクス展望台は高速エレベーターに乗って108米を25秒で上昇、3571米のヨッホ最高地点です。全員で記念撮影は笑み満面でした。
 帰路はクライネシャイデックまで標高差1393米、約9㌔をノンストップで下りますが車内の観光案内も無く49分は大変退屈で、早朝の出発もあって皆さんは居眠りでした。トンネルを出ると眞下のゲレンデにスキーを楽しむ人々を眺めて到着です。乗換駅では雄大なアイガー氷河を眺めての昼食会、午前中の疲れも素晴らしい景色と温かい室内で吹っ飛び、楽しい思い出ばかりが残ったツアーが続きます。
クライネシャイデック駅とゲレンデアイガー氷河の景観(秋に撮影)
WABの旧型電車BOB鉄道はインターラーケン迄
 帰路のWABは旧型電車で電動車が先頭になって下ります。45分を掛けてゆっくりと降りて再びグリンデルワルド駅に到着です。私達はこの日本人のとても好きな街で暫く遊ぶことになりました。
2000年2月29日(四百年に一度のチャンス)

 インターラーケンから鉄道を利用しての観光では、この駅でベルナー・オーバーラント鉄道(BOB)に乗り換えてオスト(西駅)へ通じています。電気機関車と同じ馬力を持つ電車が牽引する客車列車で快適です。電圧1500ボルト直流、軌間は1000ミリでJRの1067ミリとほぼ同じで景色も好い処を走ります。これら三つの鉄道会社は開通も1890〜98年ですから歴史の在る鉄道です。

BGM:L.デンツァ作曲の「フニクリ・フニクラ」はさんのMIDI作品です         

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