このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
へんろいしまんじゅう
ごめん・なはり線の上野田の踏切を渡り、車両通行の激しい狭い道を右に折れる。
当時、歯槽膿漏による歯痛に苦しんでいた。向かいからのトラックをやり過し、ホッとして顔を上げた時に
【まんじゅう】の看板が目に入った。よく見ると【へんろ いしまんじゅう】とある。
歯が痛いのに「困ったな」とは思ったが、糖尿病との同行二人恐れることはないと店内に入った。
『いらっしゃい』若い女の子が奥から顔を出した。若いといっても10代ではない。こちらが65歳、相応の若
い女の子である。ふたりであったような気もするのだが……
『此処のまんじゅうは、どのくらい硬いのですか?』
ふたりともきょとんとした顔をした。
『いしまんじゅうは随分と硬いのですか…………』いしまんじゅうと言えば硬いのは当然である。
歯が痛いからと続けようとしたらケラケラ笑い声が起こった。
『お客さん。いしまんじゅうじゃないのです。【へんろいし まんじゅう】なんです。とっても柔らかくで
すよ。』
バラでも売ると云ったので7個買い求めた記憶がある。四国まんじゅう談義を集大成すべく取り出した
写真はご覧のように【茶まんじゅう】に化けていた。確か【白いまんじゅう】であったのに……73歳の不思
議である。あれ以来、店で応対してくれるのはお婆ちゃん代わっていた。
『お掛けになって……お茶をどうぞ』
客人をケラケラと笑うこともなく、そつもなく、商売人の風格である。あの時の娘さんたちが、ここまで成
長してしまったのか? これも73歳の不思議である。
(本物のまんじゅうは、まん丸ふっくらです。写真のプロにかかりますと被写体の姿かたちが写真のよう
に面長なまんじゅうにも変身するものです。是非ご自分の眼と舌で、本物をご確認ください。)
CAN
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