このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

パラソル餅



 霊場40番観自在寺。参道を上り山門前に、ちまちまとした広場が横たわっている。
寺を背に並んだり向かいあったり、時には参道を隔て左右に分かれたりして地元果物の売店が二つあっ
た。昔からこのように参詣人相手の売店が肩を寄せ合っていたのかも知れない。
しかし、平成11年3月24日の遍路日記を見ても、売店のことは記されてはいない。
此方に余裕がなかったのか、それは不明。 

 雨がパラつく中、営業を続けていたお婆ちゃんの店からミカンを買った記憶がある。2店が張り合ってい
れば甲乙つけ難く、2袋を背負う体力も無いので素通りすることにしている。
 しかし今回は、例外中の例外であった。艶やかなパラソルの下、台の上には饅頭のパック3個が重ねて
あったのである。
「旨そうだ。ね〜」
パックの中でツンと澄ましている彼女に声をかけたのだが………。
「旨いさ。俺が作ったのだ」
パラソルの下、とっつあんの黒い顔の白い歯が、こちらの鼻を噛みつきそうな剣幕。
気合いに押されて饅頭を買ったのは、今度が初めてである。

 これと同じ饅頭を高知城下の日曜市で、口にしたことがある。東北では柏の葉に包んで柏餅と言って
いたが、四国では餅を包む葉が異なっている。一度訊いたのだが、「葉の名前」こちらの脳には残って
いない。だからこの惑星の饅頭は、パラソル餅と名付けた。
鬼の笑う来年の在庫。今から心配なパラソル餅ではあるが、「疲れ解消秘薬 としては、持って恋餅の
一つではある。

 百聞は一食に如かず。機会があれば一度お試しあれ。

CAN


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