このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

たくままんじゅう



 愛媛県菊間町を出立。そろそろ小腹がが騒がしくなってきた頃、大西町と今治市の境界を過ぎて道は二つ
に分かれる。その分かれ目の左、少し奥まって【たくままんじゅう】の看板はあった。
戸を開けて入ると、何となく製造工場の匂いがする。入り口で何度か大声を上げたら、漸く女子従業員が顔を
出した。【たくままんじゅう】を分けて欲しいとお願いをしてみると、少々御待ちくださいと顔を引っ込めた。

 今度は責任者らしい男性が顔を出した。お願いを繰り返すと、「何個ですか」の返事が返ってきた。
咄嗟に「10個の包みとバラで2個、あわせて12個お願いします」すらりと答えられた。
「へんろには1個でも2個でも売っていただけませんか」とお願いをしたら快く承知してくれた。
【たくままんじゅう】は大判丸煎餅のような、写真に写る饅頭である。
大きくて薄い、何処に餡子を入れてあるのか不思議な饅頭であったが、こればかりは喰ってみなければ判ら
ぬもの。口の中でな確りと饅頭になっていた。これは、饅頭職人の秘技である。
【たくままんじゅう】10個は、重ねて包装されていた。。海苔缶を抱えているようなもの。であった。

 次の年、応対をしてくれたのは老婦人。前年同様に10個と2個をお願いした。「お待ちどうさま」と出て
きたのは2個と20個入の包み。こちらもご老体。この年から入れ歯のお世話になっている。上品な東北弁と
入れ歯が相俟って、10が20に変化したものと思われる。
20個では捌くのに大変であった。口にした人は、皆うまいとは言ってくださったが。
これ以後10個の包み2つと、バラ2個を買うことにした。外人よろしく、10本の指をひろげ、言葉と連動して
饅頭の数を明示することにしている。

 昨年は定休日であったのか、製造工場はお休み。今年は、はこちらの都合で宇和島で打ち止め。
来年はこそはと、【たくままんじゅう】との再会を楽しみにしている糖尿君である。

CAN


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