このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

横峰へんろみち  (強い雨の日は避けよ 滑りに気をつけよう)

 05.8.27.栄家旅館宿泊。翌28日、横峰寺経由香園寺へ向う。
結論を先に言えば、この山越えの道は【安全なみち】であり【危険なみち】である。
ここを歩くへんろの判断と勇気が両者を分ける。つまりは貴方の心掛け次第、ということである。

 宿を出て石鎚丹原線を横峰寺へと歩き出す。松山自動車道の下をくぐり、馬返しを過ぎた辺りか
ら道路は妙之谷川と並行するようになる。川は道路の右側を走る。川向こうの杉山の崩壊が目につ
くようになる。

道路も何ヵ所か水に抉られ大型車の通行は不能、崩落箇所にって斑な紐が危険を指示している。
で山側を歩くのも、縁まで寄って下を覗き込むのも、それ貴方の心掛け次第である。
縁が崩れて川底に落ち込めば、大怪我をするのに充分な高さがあるからだ。 

 標高300にある【四国の道休息所】までは台風災害の爪あとを遠くから眺めている感じである。
ここで一服、愈々細い谷川に沿った小径に入る。
根元を綺麗に洗い流した杉の大木が、何本も倒壊している。径に架かるものは切断されているの
歩くに不便はない。しかし歩きなれたコンクリートの小橋は全て流れてしまっている。
恐らく土石流によるものだろう。へんろ道を知らせる石柱も頭を川底に突き立てもがいている。

流れた橋の上流へ俄か造りの急斜面を登り、倒木に板を打ちつけ、これまた俄か造りの橋で3m
先の岩場に渡る。 
橋も無く、流れの中に頭を出す石を渡らねばならぬ場所もある。
時間はかかるが、気をつければ横峰寺まで歩けぬ道ではない。但し雨が降り水かさが増えたら
【歩けるみち】ではなくなるだろう。それはお天気次第になる。

 横峰寺から香園寺までの下り、充分に歩けるみち。

 以前は【絨毯のみち】と密かに名付けていたのだが、その面影はない。小枝や落ち葉の堆積物
は雨に流され、川のように窪んだ堅い地表には、流れに負けなかった小石だけが蹲っている。
斜面では、彼等に足を掬われる。

ここにも倒木はあるが、邪魔にならぬように片付けられてある。だが親指大の枝はそのまま、
右足で踏んで左足を引っ掛け、転ぶことのないように……

 谷の深い何箇所かに、みちの中ほど1㎝〜1.5㎝幅の亀裂がずっと続いていた。
やがて落葉に隠れて見えなくなるだろう。崩落は大雨と地震。雨は予知できるが、地震は不可。
諦めるしかない。
谷の深い場所は山側を早足で通り過ぎる。対応策はこれ位しかない。

 標高745から略285m下った地点、採石場を経て宝寿寺に至る分れみち。
宿で得た情報の通り、通行止めの表示があった。

 香園寺奥の院。舗装道路に出る直前の谷は、崩落した岩が重なり合っていた。以前の風景は
思い出すことが出来ないほど、石で埋め尽くされていた。振り返ると山肌がざっくりと抉り取ら
れ、崩れ落ちた岩石が谷を埋め尽くしている。一筋汚れた石肌がうねって、それとなくへんろの
通るべき道筋を指し示している。

 その石の頭を踏みつけながら緊張の連続。随分と長い石との格闘のみちであったような気もし
たが、その距離は思い出せない。

 コンクリートの車道に立って、ホッとしたのは確かである。

 横峰寺を越えるへんろみち、少し時間はかかるが【安全なみち】と言っても間違いはない。
横峰寺を越えるへんろみちは、細心の注意を必要とする【危険なみち】と言っても嘘ではない。

(写真は掲載いたしません。近くに崩落現場はありましたが、直接遍路道寸断するものではな
かったからです。70歳を越した老人が13kgの荷物を背負い、舗装道路ではアキカンを拾いながら
無事香園寺までたどり着きました。ご参考まで……)


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