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「踏切対策基本方針」の柔軟対応で解決を

 

TAKA  2005年 3月27日

 

 

 和寒様にはお褒めを頂きましたが、今から思えば私の投稿は片手落ちでした。解決策を示していないのですから……。なので「急行線立体化」という方策には「目から鱗が落ちる」思いです。

 このような対策は「完全解決かそのまま放置か」という訳ではなく、「少しでも改善された」ということが必要であり、ましてや痛ましい死亡事故が起きてしまった今では対策として早急に必要なことです。工事が絡む以上すぐには改善されないにしても、いまや東武・東京都とも動かなければならない状況に追い込まれていると言えます。

 この問題の議論に入った以上、解決策提示は必要ですし、その解決策が「右見て左見て自己防衛しながら渡りましょう」では洒落になりません。その意味では和寒様の解決策提示が議論を深めたことは間違いありません。

 

☆現実的解決策の「急行線立体化」について

 今回の竹ノ塚も「踏切と駅と車庫が近接」しているが故に「 駅か車庫を動かさないと立体化は難しい (東武角田常務:3月16日産経)」と言っていますが、「全面立体化・踏切完全解消」と言う側面では正しいといえます。私も「鉄道をいじる以上は完全解決」と考えたので、上記発言は「正」であると考えましたが、「百点満点の回答だけが正解ではない」と考えれば、「急行線だけの部分立体化」でも、少なくとも今の問題状況のかなりの部分を解決できる方策であるといえます。

 この様な竹ノ塚のような「踏切と駅と車庫が近接」状況の中での現実的解決策には、前例がありました(前例が有ったのに気付かなかった私が恥ずかしい……)。その前例は「 東急東横線武蔵小杉〜日吉間線増工事 」の「 東急東横線元住吉1号踏切等関連施設改良推進事業 」です。  元住吉1号踏切は第一種甲踏切ですが、程度の差はあれども「踏切が地域を分断している事」「交通量が多い踏切」「踏切と駅と車庫が近接で完全立体化が困難」という点では、伊勢崎線37号踏切と同じ状況です。しかし東急は複々線化に際して、都市計画決定時に色々考慮したうえで、「車庫線だけ地平で残す」という方策を取り、踏切の負担を減少させながら車庫出入庫も可能にする方策を取りました。又地平区間が残る為「連続立体化事業」の要件を満たしてはいませんが、川崎市は上記改良事業で一部の費用を負担しています。

 元住吉の場合、複々線事業との関連で実施されたといえますが、この方策は竹ノ塚でも応用できるでしょう。急行線を通る約半分の列車の踏切への負荷が減るだけで大きなものがあります。中長期的方策であれども、2名の方が亡くなる痛ましい事故の起きた踏切の安全性向上策として現実的方策であるといえます。

 

☆先ずは東武鉄道が積極的に動くことが必要

 確かに「急行線立体化」の方策は、「完全立体化は現実的に困難」だが「(表面的には)鉄道会社の過失で起きた死亡事故」への対策を出さなければならない状況では、費用対効果を考えた中で現実的方策であるといえます。

 しかしこれは「先ず誰が動き出すか」が重要です。先ず最初に動き出すべきは東武鉄道でしょう。本来であればこの開かずの踏切解消への責任は交差している「鉄道」と「道路」で半々であるともいえます。その点では東武が最初に積極的に動き出す必要性は乏しいです。

 しかし沿線で「 東武は犠牲者が出ないと動かないと住民同士で話していた。まさか本当に犠牲者が出るなんて (3月16日産経)」と言われている状況では、東武の企業イメージから考えて東武が積極的に動き出す必要があります。今の時代沿線密着の民鉄業においては、沿線住民の民鉄へのイメージ等企業や沿線の持つの持つイメージは非常に重要です(それを上手く使っているのが関東では東急)。今回の事故は沿線住民の東武へのイメージを毀損したと同時に、世間にも東武鉄道へのイメージを毀損したといえます。これは非常に大きい問題です。

 この様な危機に際して、本当ならば東武が積極的に解決策を提示し動き出す事が必要になります。そうする事において沿線での東武への「犠牲者が出ないと動かない」と言われる様な消極的イメージが改善されることになります。伊勢崎線37号踏切の利用客は東武グループの「東武バスを利用し」「TBOX(駅ビル)で買い物し」「東武鉄道を利用する」可能性の高い人たちです。その人たちに与えたマイナスイメージを解消する事は、企業の危機管理として必要なことです。このようなことが「企業の蟻の一穴」となる危機感を持たなければなりません。

 その様な努力が沿線を収益基盤として沿線と共に生きなければならない民鉄企業として必要です。又そのような努力をする事が決算説明会で副社長が「便利になっても本当にお客さんが来てくれるのかなぁ」というようなことを言ってしまう東武鉄道の企業体質を改善することになります。

 

☆「踏切対策基本方針」の柔軟対応等の行政の方策も必要

 しかしいくら「(表面的には)東武鉄道に過失のある事故」「東武の企業イメージの為にも必要」な改善策として「急行線高架化」を提案するにしても、現実的には 100億円単位でのお金が掛かる話です。そうなると流石に簡単には言い出せません。また皆さん御指摘のように「急行線立体化」は連立事業の要件を満たさず、連立事業としての補助は出てきません。そこにも問題があります。

 東京都が踏切対策に出した「 踏切対策基本方針 」でも前述の様に、「 鉄道立体化の検討区間 」として「 東武鉄道竹ノ塚駅周辺 」の中に伊勢崎線37号踏切を含む区間が出ていますが、あくまで「完全立体化」をもくろみ、その中で「補助261号線との関係を検討。車庫線・引上線との関係を検討」と出ているだけで、具体的方策は出ていません。

 しかし今や「2名の方が亡くなる死亡事故」が発生した状況であり、この「問題踏切の改善策」は抜き差しならぬ状況にあります。そのような状況で「鉄道の完全立体化」に拘っていれば、それこそ東武鉄道も動き出すこともできないですし現況も改善されません。ですから、必要なのは東武鉄道を含む鉄道事業者をフォローできるような「踏切対策基本方針の拡大解釈」といえるような柔軟対応でしょう。

 踏切対策のベストは、周辺を含め完全に解消すること、つまり連続立体事業の完成です。しかし連立事業には金と時間が掛かりますし、技術的・用地的にも困難がある場合があります。そのような場合、連立事業や単独立体の完遂と言う事に拘らず、柔軟な対応を早急に行う必要があります。その具体的例は前述の「 東急東横線元住吉1号踏切等関連施設改良推進事業 」(東急と川崎市の共同事業で元住吉の本線だけを高架化し、車庫線の存在を生かしながら踏切の改善を図る)や「 東京都踏切すいすい事業 」における「 調布鶴川陸橋 」(京王線調布駅周辺連続立体事業の完成前に、暫定的に鶴川街道を仮設立体化し踏切障害を解消)等があります。本来なら前者は「補助を出す以上踏切存置を認めず完全立体化を目指す」という方針でしょうし、後者は「連立事業を始めたので完成するまで待ちなさい」で終わっていたところです。

 これらの事例は高架は限定的であれども、今までの概念を解消し可能な範囲で及第点の効果を得るという点で今までの事例に比べれば画期的であるといえます。このような考え方を竹ノ塚の「急行線立体化」にも使うことは出来ないでしょうか?

 いくら東武鉄道が危機感を持っても、半分の責任を有する自治体が動かなければ上手くは行きません。東武鉄道の危機感が空回りするだけです。類似例で前例が有る以上、東京都・足立区も柔軟な方策が必要であるといえます。

 和寒様及びエル・アルコン様の投稿の二番煎じになってしまいましたが、投稿から得られた考えを自分なりに纏めてみました。

 やはり肝心なのは「事故が起きてしまった以上は改善策を考える」必要が有るといえます。当座は東武鉄道が、
   「社員教育を徹底し安全意識を徹底する」
   「内規を遵守し、プレッシャーに負けず、安全に踏切操作を行う」
   「歩行者には歩道橋・自由通路に迂回して貰うようよりアピールする」
 等の方策で対応するしかありません。しかし、中期的には再び利用者の不満が爆発し、踏切警手等に向けられ、踏切警手がプレッシャーに負け、同じ内規違反が行われる危険性は否定できません。それを防ぐには70点でも良いので解決策を具体的に提示する事が必要です。それには「急行線立体化」「踏切対策基本方針の柔軟対応」が必要なのではないでしょうか?

 

 

 

 

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