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「急行線立体化」は暫定事業として自治体・東武鉄道で進めるべき

 

TAKA  2005年 3月27日

 

 

 「急行線立体化」案はオリジナルではなかったのですか……。ただ、皆さん色々な知識・考えを持たれていますから、これらを上手く聞いて、自分の発表につなげていくことも必要であると思います。正しい意見をいう人が居なければ、単純に「踏切警手のミス以上でも以下でもない」「左右を安全確認して自己責任で渡りましょう」なんて意見になってしまいます。

 

☆本件と東京メトロとの関係

 さて本題。

 「車庫線・引上線との関係を検討」という問題ですが、確かに表向きの関係者は東武鉄道・足立区(東京都)になりますが、「車庫の保有者」「車庫が伊勢崎線37号踏切を含む連続立体化のネック」という問題から考えると、影の当事者として1966年に東武から車庫を買い取り、現在も保有・使用している東京メトロも関係しているのは事実です。確かにそれが問題を複雑化しています。

 東京メトロが平面交差解消に乗り気でないのも確かであると思います。竹ノ塚駅の配線は、緩行線しか走らない東京メトロの車両を車庫に入れるのに下り急行線を横断するものですが、これはダイヤ的にも安全的にも好ましくありません。しかし1974年の複々線完成時に、この問題への対策(出入庫線立体化)がなにも取られず、一番安易な竹ノ塚駅からの平面交差での出入庫線設定という方策を取っています。

 この点から類推すれば東京メトロが本件事故が発生しその対応策として連続立体交差事業を行うとしても、費用が伴う改善を行う意志が無いのでは?と考えます。30年前といえども、複々線化時という改良のチャンスに改良しなかったことから、類推するとそうなります。

 その点は和寒様の意見と同一です。出入庫経路的には昔は複々線が竹ノ塚までで、ここで一段輸送力が落ちていて多数の折返し列車があったので、竹ノ塚駅経由の出入庫でも問題はなかったでしょう。しかし、多数の列車の通る急行線を横断して(ましてや入庫時は短区間ではあるが逆走する)入庫する形態を30年も放置してきたのです。やはり「東京メトロに改善意志無し」「本件連立事業の癌の一つは東京メトロ」といえると思います。

 

☆しかし何であれ「先ずは改善する事が必要」

 しかし本件はすでに「痛ましい事故」という現実が発生しています。その中で東京メトロの費用負担抵抗等の連続立体事業・道路の単独立体事業の両方とも、伊勢崎線37号踏切解消への方策として難問山積であるのも事実です。その中で「急行線立体化案」に私が飛びついたのは、「車庫線・引上線との干渉問題を回避できる」「当座の改良策として暫定的に行える」という点にあります。

 立体化を急ぐために、東京メトロに膝を屈して費用を全て東武と自治体で負担というのも変な話です。しかし、本件の当事者として表に出ているのは東武鉄道と自治体です。東京メトロについては、知っている人でなければ当事者であることを知りません。死亡事故が起きたのに何も進まなければ世間から非難されるのは東武鉄道と自治体です。東京メトロは「何が起きているのですか?」と惚けていても世間には分かりません。

 これでは、

   「事業のために応分の負担を求めても東京メトロが呑まない、かといって東武・自治体が負担する訳にはいかない」
   「そのため、立体化事業は袋小路で進まない」
   「しかし、立体化事業が進まないと東武・自治体は非難される」

 という状況に陥り、東武・関係自治体だけが貧乏くじを引かされることになります。

 これらを解消し、しかも今の状況を多少でも改善する妙案が「急行線高架化案」だと感じました。此れが「伊勢崎線37号踏切の望ましい最終的形態」であるとは思っていません。私は「調布鶴川陸橋」ではないですが、「連続立体交差化事業」完成までの暫定的形態として先ず「最初に暫定的に急行線を高架化する」という形態でいいと思います。これには幾つかのメリットがあると思います。

 

「急行線(暫定)高架化案のメリット」

(1)駅の絡まない急行線だけの高架化で有るから、比較的低費用・短期間に出来る。
(2)暫定工事だが、上手く調整して立体交差事業の先行方策として行えば手戻りが無い。
(3)話し合いの困難な東京メトロを取り合えず外せる。(→これで暫定事業のスピードアップが果たせる)
(4)とりあえず伊勢崎線37号踏切の負荷を軽減できる。(既出)
(5)結果的に東京メトロ竹ノ塚車庫の出入庫線平面交差を解消できる(既出)

 

「急行線(暫定)高架化案のデメリット」

(1)緩行線が地上に残るために完全な踏切の解消にならない。
(2)連続立体交差事業に該当しないため、今のスキームでは連続立体交差事業なみの補助を受けれない。

 

 私が考えるだけでこれらのメリット・デメリットが有ると思います。もし今回の事故で、東武鉄道・自治体が危機感を持ち「何とかして改善しなければ」という危機感を共有でき事業推進に向えるのならば、多分(3)が一番のメリットになります。暫定事業であれば(5)のメリット分を東京メトロに支出を求めなくても「踏切の危険性減少が早期に必要」「将来の本設高架化時には応分の負担をしていただく」ということでかわせると思います。

 そのうえで、将来沿線住民から「何故完全解消できないのか?」と問い詰められた時には「東京メトロが協力してくれません。我々は可能な限りの事をしました。それで暫定高架化で止まっています」と言い訳できます。ましてや東京メトロが話に乗って来れば暫定工事から本設全面連続立体化工事に切り替えればいいのですから、少なくともデメリット以上のメリットがあると思います。

 元住吉の例を見れば、「一部立体化で70点の改善策」でも、踏切改善に効果があれば公費が投入され補助も行えるということの前例になります。暫定事業と付けば「将来は連立化されます。その暫定策です」といえば、連立なみの補助を自治体が出すことも可能でしょう。少なくとも類似例があるのですから、やる気があれば関係自治体は早急に検討できると思います。そう考えるとデメリットの(2)の解消の目処は立つことになります。ですから「急行線高架化案」が今の段階ではベターな選択かな?と思います。

 確かに究極策として車道閉鎖・歩行者自転車用地下道建設と言う策も有りますが、それでは将来の周辺を含めた完全立体化へ向けた事業になりません。また簡単に東京メトロに屈するのも問題です。東京メトロが増長するだけです。暫定工事が完成すれば「踏切完全立体化の妨害者」は協力をしない東京メトロになります。そうすれば迂回手段ですが非協力者への住民の非難を東京メトロに向けさせることで、圧力をかけることが出来ます。

 そのようなことを考えて「急行線高架化案」を暫定事業として行い、伊勢崎線37号踏切の負荷を軽減することが、今取れる方策で早急に行える方策として好ましいと思います。

 

<補足1>

※本来なら東武鉄道から、このような提案があっても良いものです。今回の踏切事故で受けたマイナスイメージを回復するためにも、この様な提案を行い、

「自治体さん、補助に関して『踏切対策基本方針の柔軟活用等』で対応してください。さもないと単独事業では費用的に出来ませんよ」
「これで完全連続立体化するには、車庫所有者の東京メトロさんの協力が必要です」

 ということをアピールしてボールを投げることも、地域に根付いて事業を行う民間鉄道事業者として、自社のイメージ等を戦略として考えれば必要なことであると思います。

 

<補足2>

※東武複々線区間から踏切を根絶したい(=竹ノ塚連続立体の完全完成)のは私も同感です。しかしメトロ竹ノ塚車庫の東武西新井工場跡地への移転は反対です。東武にとり西新井工場跡地は数少ない優良資産です。竹ノ塚連続立体工事のためにメトロ車庫を西新井に移転させれば、各種圧力で東武の優良資産を安い対価でメトロに譲り渡されるようになる可能性があります。

 西新井と竹ノ塚の等価交換は成立しないと思います。そうなると金銭が伴うことになるが東京メトロが金を出すか……。残念ながら怪しいですね。  如何なる理由があれども東京メトロが優遇されるべきではありません。あくまでも正攻法で、東京メトロ車庫はあの位置で出入庫線を竹ノ塚駅に擦り付ける形でメトロが改良工事を行うか、西新井寄りに新しい出入庫線を作る事で竹ノ塚連続立体を完成させる方策が好ましいと思います。

 西新井への車庫移設まで連立事業で行うと、とんでもない費用がかかり、厳しいものがあると思います。費用から考えて移転先として適当なところになると、乗入範囲外の埼玉県の奥地になってしまい、それこそメトロが納得しないと考えます。そう考えると東京メトロ竹ノ塚車庫は移転は難しいことになり、現状位置に合わせたうえでの完全立体化への模索が必要になります。

 また、東武にとって、西新井工場跡地は減損会計対応の利益出しの切り札の一つです。それを簡単にメトロに譲り渡すのは、

「減損なんてそんなバカなことを言っている奴がいる。あれはとんでもない話でねぇ。ああいう会計原則だと。参った話ですよ」
  (3月7日号日経ビジネス「西武を笑えぬ東武」東武決算説明会での池田副社長のコメントより)

 というレベルの人がいる会社でも減損会計対応に西新井跡地を活用位は考えているでしょう(東武に含み損が隠れているだろうというのは多分間違いない?)。そんなことばかりしていたら東武は本当に減損会計を乗り切れなくなってしまいます……。

 

 

 

 

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