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阪神のビジネスモデルは次世代のスポーツビジネスモデルでもある



とも  2005年 7月17日





 阪神の成功、ある意味で民鉄によるプロ野球経営のビジネスモデル……と思えますが、実は民鉄会社という次元ではなく、プロスポーツチームとしての成功例、言い換えるとまさに欧米のプロスポーツチームとまったく同じモデルであるといえます。何かといえば「地域密着」です。

 阪神の人気は全国区です。しかし、関西地区での人気は単に「人気」というレベルではなく「生活の一部」ともいえます。広島や中日、福岡ソフトバンク、あるいは千葉ロッテや北海道日本ハムなども各地に密着していますが、それでも阪神が関西地区に与えているものとは格段に違うといえます。

 老若男女、だれかれ問わず勝った負けたに一喜一憂。阪神が優勝すれば資本関係やらチェーンやらにまったく関係なくバーゲン実施。広島でも名古屋でもここまでになることはそうはないでしょう。これこそが阪神成功の秘訣ともいえます。

 つまり、阪神タイガースは阪神地域に密着し人々の絶大な支持を得ている。そのため、たとえ成績に上下があっても、弱くてもファンが離れない。「おらがチーム」という認識がされている。それが結果的に優勝した際の絶大な効果を生み、阪神電車を利用して甲子園に行くという行動につながっている。そう考えることができます。

 言い換えると、阪神タイガースは阪神電鉄のグループ企業である前に、阪神地域の地元チームであるということです。だからこそ「阪神電車は阪神タイガースの子会社」という揶揄につながる。阪神というのはほかのチームとはまた違うものがあるといえます。

 この構図は欧米のプロサッカーチームやMLBなどの北米プロスポーツ、Jリーグの多くのチームとも相通じるものです。どこが親会社やオーナーかなんてまったく関係がありません。球団は一つの独立企業として経営ができる。ヤンキースのスタインブレイナーやチェルシーのアブラモビッチのような「著名」オーナーも存在しますが、だからといってチームの地域密着に狂いはありません。

 まさにこれは阪神と同じでしょう。ある意味でダイエーがぎりぎりまで手放さなかったのも福岡という地にチームが根付いていて、そして、阪神のすごさはさらにその環境下でも本業をプラスにできているということになります。

 一方、西武はどうか。西武は所沢や埼玉県に何をもたらしたのでしょうか。西武ライオンズが誕生したものの、埼玉のチームという認識はなかなかされない。西武沿線の子供たちこそ西武ファンになってはくれますが、決して地域密着ではない。

 だからこそ西武鉄道にとってのメリットが無い上に、いざ弱くなるとファンが離れる。そういう意味で地域密着を打ち出した西武の方針はある意味で正論ではあります。ただ、時期が遅すぎるかもしれませんが

 プロ野球の今後はやはりJリーグ的な地域型になっていくことしかないでしょう。そのとき、交通事業者各社は逆に支援に回ることができるともいえます。すでに横浜戦には「京急ナイター」があり、北海道日本ハムにはJR北海道がバックアップしていますね。そして四国アイランドリーグの冠スポンサーはJR四国です。これまでのオーナー企業ではない新たな形でのチームへの支援。それこそが「元祖地域密着企業」の交通事業者が可能なことともいえます。

 某球団のオーナーが戻ってきましたが、まだまだ判ってないようです。なぜに巨人の視聴率が悪いのか。弱いからだけ? さて、どんなもんでしょうね。





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