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大阪市交の不思議かつ不透明な運賃計算

 

エル・アルコン  2004年10月19日

 

 

 とある営業規則関係を扱うサイトで話題になってた事例ですが、大阪市営地下鉄の谷町線阿倍野から四つ橋線肥後橋まで乗車する際、東梅田〜西梅田の徒歩連絡(以下「梅田」という)で乗車すると梅田で打ち切り計算になるということです。

 大阪市の「高速鉄道及び中量軌道乗車料条例施行規程」(以下「規程」という)39条 2項において、運賃は「最短の経路による。ただし、最短経路によりがたい場合は、乗車経路により計算する。」とあり、この区間は最短だと 230円、梅田経由だと 270円となるはずですが、打ち切りで470円になるのです。
   大阪市例規データベース(第21類「交通」に進み「次の20件」を2回経て「高速鉄道及び中量軌道乗車料条例施行規程」に進む)

 規程25条で、「普通券は、乗客が乗車経路の連続した区間を片道1回乗車する場合に発売する。ただし、その経路がう回、折返し、又は環状となる場合は除く。」と定められており、この「う回」に該当するという判断だそうですが、このケースの場合、梅田乗り換えだと徒歩区間が長いものの乗り換え1回、それに対して最短距離は天王寺、大国町の2回乗り換えであり、いかに大国町が対面接続とはいえ、梅田経由は積極的に排除される乗り方ではないはずです。

 実際には後述するOTS経由と、梅田の徒歩連絡以外は経路を確認出来ないので、事実上最短距離計算がデフォルトであり、最短距離の安い運賃で梅田で降りられてしまうという問題回避のための窮余の一策と見られます。これは東京メトロでも大回りは券面金額区間以上のエリアへは行けないというルールになっており、もしそれなら分かります。

 ただ、定期券発売にあたって、乗り換え回数を2回まで(住之江公園の四つ橋線〜ニュートラムの乗り換えはカウントせず。一部例外区間は3回も可)と定めるなど、「う回」の定義は、距離のほかに乗り換え回数を明らかに含むだけに、本件のようなケースは 270円での片道乗車として扱うといった対応が必要でしょう。

 ちなみに神戸市交の場合、西神・山手線と海岸線相互間の乗車の際、新長田経由と三宮経由で運賃が異なりますが、三宮もしくは新長田での出場記録を読み取って(新長田はラチ内通路があるが、改札を出ての乗り継ぎも可)、経路通りの運賃を請求しており、大阪市も同様の対応は可能なはずです。

 さらに問題なのはOTSをはさむ通過連絡で、前後の地下鉄運賃は通算されるところ、上記の「う回」に認定されると打ち切り計算になります。これが地下鉄とOTSの境界駅である大阪港もしくは中ふ頭ならばまだ分かるのですが、なんとコスモスクエアで打ち切るため、本来大阪港−中ふ頭の全線均一運賃のはずであるOTSの運賃を二重にとられます。これも中間改札がコスモスクエアにあるためと思われますが、中間改札経由での通し乗車で二重取りというのは正当な根拠もあろうはずもなく、論外です。

 

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 ここで問題になるのは、規程を見ても「う回」の定義がはっきりしないこと。最短距離によりがたい時は実際の乗車経路に従うケースもあるとしながら、打ち切り計算という根拠が明文化されていないのです。さらに乗り換え回数の制限が定期券にあるわけで、「最短距離」での乗車を交通局が否定する可能性すらあると言うことを考えると、運賃を徴収するにあたっての「う回」の定義が非常に曖昧です。

 まさか精算時に駅員の感覚で処理しているとは思えないから、何らかの基準があるはずですが、それが一切明らかになっていないというのは、消費者契約法に抵触する可能性すらあるわけで、民間会社ではなく、行政法体系にしたがって業務を行うはずの地方自治体の対応としては非常に問題です。

 特にJRをはじめとする鉄道各社が、消費者契約法および独禁法の改正(鉄道に対する適用除外の廃止)に伴い、約款類の開示や制度の簡素化という利用者に対しての透明性を高めていることを考えると遅れは明らかであり、速やかなる基準の開示ならびに、非常識とも言える計算方法の訂正が望まれます。

 

 

 

 

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