このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

マイレージは「半歩前進」だが

 

エル・アルコン  2005年 1月26日

 

 

 道路公団による各種ETC割引制度が一般有料道路を除外している件についてはこれまでも批判してきましたが、 4月導入予定のマイレージについては、当初発表を改め、一般有料道路でもポイントが貯まるようになりました。
   JH発表

 ただ、利用 100円あたり 1ポイントと、高速自動車国道で貯まるポイントの半分と妙な格差を付けており、文字通りの半歩前進です。救いがあるとすれば、ポイントの積算と還元にあたっては高速自動車国道と共通化するということでしょうか。

 リリースでは偽造問題に端を発した回数券の全面的な廃止への言及もありますが、こちらはマイレージのポイント割増で調整するとあり、マイレージと当該道路における利用頻度に応じたポイント割増の合成が、回数券の割引率に等しくすることで、現状の回数券ユーザーにとっては損得無し、前割ユーザーにとってはマイレージ還元による割引率が現行の半分になってしまう格好です。

 なお、利用頻度が高い場合は割増による割引率アップが期待出来ますが、回数券の割引率が 5万円前割の割引率より低ければ、割引率ダウンは確定しますし、高ければもともと回数券を利用していたはずで損得無しと、一般有料道路に関しては「値上げ」が確定した格好です。

 もちろん一般有料道路のなかには、既存の高速道路網とは別個のものも多いわけで、今回はじめてETCが導入されるような道路であれば、割引制度の設計に独自性があっても良いでしょう。

 しかし、各道路の性格を考慮せずに、高速自動車国道と一般有料道路と言う杓子定規な線引きで実施しているため、伊勢湾岸道における名港トリトン区間や、山陽道における広島岩国道路といった、利用者にとっては割り引かれなかったり割引が半分と言うだまし討ちのような区間の存在や、圏央道や東海環状道のように高速自動車国道からの転移を図ることに建設・開通の意義がある道路が、ただでさえ高い賃率に加え、割引率が半分になることで利用意欲を大きく削ぐ可能性が高いケースが目立つだけに、少なくとも高速自動車国道と連続して走行可能な一般有料道路に関しては、割引条件に差異を設けない方向に修正すべきです。

 

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 今回のリリースで目を惹いた回数券廃止に伴うマイレージポイントの割増ですが、これの応用・展開として、道路単位や事業者単位での割引率設定などの割引制度の設計が出てきそうです。

 道路公団のマイレージも事業者単位の制度ですし、首都高のETCモニター割引も前割との併用不可です。また、阪神高速の回数券廃止によるETC付け替え(今秋予定)分は、阪高利用に限り使えるとあり、後納ではなく事業者単位で前払残高を管理しており、将来的には後納が原則で、事業者単位で使えるマイレージバンクのようなシステムを併用する方向になるのでしょうか。

 ただ、航空は競合他社に対する囲い込みであり、利用者も利用会社を一本に絞ることでより有利な割引を享受出来るのですが、道路の場合は一本に絞ることが原始的に不能であり、利用頻度に比例した割引を前提にしている限り、囲い込みの単位を細分化することで利用者が享受出来る割引は確実に不利になるわけです。

 ハイカ、前割と利用可能な道路全体で共通する形の割引制度から、ETCという利用者単位での履歴管理が可能なツールへの進化に伴い、木目細かい割引といえば聞こえが良いですが、通勤割引のような利用可能な層が限られ、かつ非常に分かりづらい制度を使いこなせれば安くなるが、全体では値上げという流れは止まらないのでしょうか。

 

 

 

 

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