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交通網における性格を踏まえた運賃政策を考えては
エル・アルコン 2005年 2月 2日
コミバスの運賃論からの展論です。
知人から聞いた話ですが、最近、親族が都内の病院に入院しており、都バスで見舞いに通っているそうです。その病院の前には停留所があるばかりか、その病院を起終点とする系統もあるんですが、ちょうど家のそばから乗れる系統は病院を通らず、乗り換えればいいんですが、停留所一個分なので歩いているそうです。
都バスの場合、一日乗車券や定期券を所持していない限り、乗り継ぎ割引の類が一切ないため、二度目以降の乗車が微妙な距離の場合は、再度 200円を払うことを躊躇して歩いてしまうようなケースがあったり、地下鉄など別の交通機関を選択するインセンティブが働くようです。
例えばこれが大阪市であれば、いわゆる「バス=バス連絡」の乗り継ぎ券を降車時に受け取る(大阪市バスは後払)ことで、次回乗車が無料になりますし、神戸市であれば乗り継ぎ専用カードの購入という手間はあるものの、次回乗車が 100円引きになるため、乗り継ぎ利用に対する障壁は小さくなっています。
また、大阪市の場合は「バス=地下鉄」割引も含めて、レインボーカードなどのスルッとKANSAI対応カードでの乗り継ぎ時には自動的に割引が適用されるため、一枚のカードで乗り継ぎと割引を当たり前のように享受出来ることで、バスの路線網を系統単位ではなくまさに路線「網」で、さらには地下鉄などと組み合わせた交通網として活用しやすくなっています。
このあたりは都バスも大いに参考にすべきでしょう。特に、大江戸線が全通したことで、都心部での地下鉄にアクセスしづらいエリアが相当消えたこともあり、バスの位置付けがより狭いターゲットを目的としたフィーダー機能を重視する方向に働いており、最終目的地へのちょっとした移動での使い勝手を運賃面からもサポートすべきでしょう。
さて、コミュニティバスの運賃設定も、その運行区間のみで完結する利用が太宗を占めるのであれば、その平均乗車距離の短さを考えると他の路線よりも安い価格設定をすることが重要なのかもしれませんが、他の交通機関のフィーダーとしてのチョイ乗りを期待したケースであれば、運賃自体は周辺路線と同レベルにする代わりに、接続する交通機関との連続利用を割り引くというような設定のほうがインパクトがあり、効果が上がるのではないでしょうか。
欲を言えばともさんご紹介の大阪市のようにコミバスの一種であろう「赤バス」は一乗車 100円、上記でも紹介した「バス=バス乗り継ぎ」をする際には 200円を支払う(一般バス同士の乗り継ぎや一般バスのみの利用と同運賃になる)というようなシステムがベストですが。
なお、同一系統内での多段階運賃制度ですが、前払い式の申告制は、和寒さんが例示した新京成バスも、数年前に神奈中バスのようにターミナル駅発の便に限り後払いに変更したように、不正申告による徴収もれの弊害があります。
とはいえ全面的に整理券方式の後払いにすると、乗降時の停車時間がいたずらに伸びるわけで、乗車距離も時間も短い都市内のバスにとっては、利用そのものを回避される方向に働きかねないわけで、それぞれのバスは均一運賃のほうがいいでしょう。
このあたり、大阪市はかつて幹線系統と支線系統に分離して、乗り継ぎを前提とした路線網再編を行い、利用者の支持を得られずに失敗した前例があるのですが、小さいエリアでの面的サービスである赤バスと、既存の各系統の乗り継ぎについてはうまくいっているようであり、既存路線の圧迫や競合ではなく、住み分けや連携を図る方向で調整するのがベストです。
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