このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

マイレージと前割の見えて来ない関係

 

エル・アルコン  2005年 3月 4日

 

 

 首都高速と阪神高速をETC専用にするという方針がかつて語られたことがありましたが、それとトレードオフの関係として両高速の均一料金制を対距離制に改めるということがありました。当時、出口料金所の設置が不可能である以上、完全にETC専用にしない限り、均一制料金を最高額にしてETC車のみ割り引くようにしない限り、ETC車であっても現金払いになるだけという当たり前の予測がありました。

 その当時は、2005年度にもETC専用になるという刺激的な方針でしたが、上がったとはいえ足元で30%強の利用率ではそれも適わず、まだとうぶん先になるようです。とはいえ、2008年度にも首都高、阪高が対距離料金化、という情報がまたぞろ出てきました。

   朝日新聞記事

 そうなると2008年度にはETC専用化か、もしくは均一制料金を上限にするか、はたまた均一制料金を大幅値上げするかのいずれかになります。専用化はまず無理。均一制を上限にするのでは徒に収益が悪化する。となると値上げですが、その時点での普及率の問題にもなりますが、料金大幅値上げとETC割引の「セットでチャラ」ということがユーザーに受け入れられるか、これは疑問です。

 この 1月限りで阪神高速の回数券の販売が終了し、昨年夏に発行された現行デザインの回数券以外の回数券は現行デザインのものに交換しないと使えないことになりました。その現行デザインの回数券も 7月いっぱいで使用停止になるのですが、一方でETC車の 5%割引や休日日中の割引などのフォローが取られるようになり、前払割引を併用すれば百回券には劣るもののそこそこの割引を享受出来るはずです。

 ところが、 2月も半ばを過ぎてリムジンバスを利用する機会があったのですが、相変わらず回数券で通行しています。実は車載機を搭載しているにもかかわらず「使用停止」の張り紙をしているわけで、もちろん使い残しの払戻などはあるにしろ 7月までしか使えないと分かっている回数券を敢えて使うところに、プロのシビアなコスト意識が見え隠れします。

 そういう現実を見た時、対距離制料金の採用が基本的には値上げとなる場合、利用者がどういう「対抗策」で防衛するのかが気になるところです。

 

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 こうした事象に備えるべく、大口多頻度ユーザーを相手にした大口の割引制度の導入もあるんでしょうが、一般ユーザーとの割引率の均衡を考えると、いろいろ問題が噴出した別納制度よりも罪深い制度になりそうです。首都高、阪高についてのアナウンスは無いですが、JHについては、新制度は現状の割引の原資を、料金比で大型車、普通車に再配分すると明言しており、実際に大型車への配分を高める結果になっており、普通車の値上げ(割引見直し)で大型車の値下げ原資を確保しているのです。

 民営化すれば料金が安くなる、と謳った民営化推進委。特に、答申直後に1割値下げを公約させたと誇らしげに語っていた猪瀬委員の姿に、道路行政の行く末はともかく、料金は安くなると感じた人は多いでしょう。

 しかし、その実態は、地方で通勤時間帯、また深夜時間帯に利用しない限り、値下げを享受できなくなったばかりか、JHのマイレージにおける一般有料道路の割引率の半減に代表されるように、「実質値上げ」であるわけです。

 私自身は今でも懐疑的、いや、反対である道路関係四公団の民営化の実が見えないうちに、デメリットだけが確定している現状に対し、推進委、特に猪瀬委員は、その答申発表時のような雄弁さで国民に対して説明する義務があります。もちろん、猪瀬委員の案ですらここまで酷いのですから、答申に反対した委員の意見でまとまっていたとしたら、さらに酷いことになっていたのかもしれませんが。

 

 

 

 

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