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ペンギンの当惑・カモノハシの受難

 

エル・アルコン  2005年 5月 9日

 

 

 テーマとしては「新しい料金システムと既存システムの整合性」に含まれる話ですが、先日上京した際にこういう体験をしました。

 

●西日暮里でのある体験

 常磐線の松戸から緩行線に乗り、西日暮里接続で山手線の駒込に向かった際のことです。松戸では SUICAを利用したんですが、いざ西日暮里に着くと困ったことになりました。連絡改札には SUICA対応の改札機があり、パスネットなどの東京メトロの乗車券類を投入して SUICAをタッチしてくださいとあるので、手持ちのパスネットを投入したところ「未入場」のサインが出て入れません。

 もちろん松戸は SUICAで入場したのですからパスネットに入場記録は付けられませんが、松戸での入場記録のある SUICAとの併用であれば、北千住−西日暮里の運賃を引き落とせば良いだけで、なんとも融通が利きません。

 構内を見ると左右の改札機群を挟むように精算所があるんですが、「SUICA のお客様へ」というような案内は見当たらず、結局精算所に並びましたが、これもオール有人窓口とあっては、本当にICカードでここまで乗ってきたのかを疑うようなタイムスリップしたような光景です。

 さて並びながら窓口周りを見て気がついたのは、 ICOCAが全く使えないと言うこと。これは盲点で、さっきの改札機は東京メトロが管轄するため、単純なメトロとの乗り換えでも使えないのです。

 笑えたのは窓口に ICOCAで来た人のためのマニュアルがお客側に向けて立てかけてあり、いろいろな処理例の後、「(JR区間の支払に)ICOCA を使用したいと言う申し出があった場合」「申し訳ありません(後略)理解を求める」と言うのはなんともはやで、普段の上京時には ICOCAで乗るケースも多いだけに、一歩間違えば「理解を求められる」身になったわけです。

 結局処理としては SUICAでの徴収済金額(前引 130円)と、松戸−駒込の通過連絡運賃(370円) との差額(240円) を精算して、出場処理された SUICAといわゆる普通のきっぷを受け取ったんですが、今や SUICA専用改札があるご時世に、他社連絡が絡むとはいえ、もともとJR線の一部としての側面があるがゆえの通過連絡扱いであり(北千住−西日暮里を挟む前後のJR線のキロ程を通算した運賃と、メトロ区間の運賃を加算する)、紙ベースの乗車券で無いと対応出来ないというのはあんまりです。

 改札を抜けてJR側の様子を見るとこれもメトロ側と大同小異で、左右の改札の両脇にJR線への精算所がありますが、 SUICAについては改札機の使い方を示すカラー写真入りのポスターがあちこちにあるのはまだマシ、とはいえ、例えば池袋から北松戸へ行く人がパスネットを投入して SUICAにタッチしたらこの後どうなるのか、他人事ながら心配になります。

 ちなみに連絡改札の内外で一番目立つのは、運賃区界について亀有以遠に行く場合は綾瀬ではなく北千住を境界駅として計算すると言う掲示。メトロ区間である綾瀬で打ち切ると安いケースがあるからゆえの案内でしょうが、基本中の基本である通過連絡におけるカードの扱いについて明快な説明が無いのは大問題です。

 

●ICカードのほうが「使えない」路線の存在

 一言でいいますと、西日暮里接続がデフォルトの利用者にとっては SUICAは使えません。 SUICA定期は他社連絡定期に対応してないと聞いてますから、定期券もそうだとしたらこれは論外ですが、おそらくそうでしょう。

 昭和46年に千代田線を介した複々線化が竣工した時、スト時の扱いや通過連絡で負担が軽減されているとは言ってものメトロとの加算運賃を捉えて「迷惑乗り入れ」と言われたのは有名ですが、ICカード対応を考えると、西日暮里接続が絡むとICカードの利用が出来ない、さらに ICOCAに至っては誤入場扱いの処理で、別途全額徴収というのでは、迷惑の度合いが増しています。

 そもそも論として、西日暮里の連絡改札は通過連絡の客が多いわけで、それに対応出来ない SUICA対応機を置くのは無駄もいいところです。さらに有人窓口しかないことが混雑に拍車をかけており、せめて精算機を多数置くと言うような配慮が必要です。実際、メトロと都交の乗り換え駅では「のりつぎ・のりこし精算機」と題して、不足額精算のほか、都交への乗り継ぎ運賃での精算が可能な精算機があるわけで、西日暮里でそれが出来ないということはないはずです。

 さらに一歩進めて精算不要にすることを考えた場合、西日暮里から亀有以遠への場合は西日暮里の連絡改札経由を把握して通過連絡計算は出来ますが、メトロ区間の引落しを出場記録無しにどうするのか(単純なメトロ乗り継ぎとの識別)という問題がありますが、逆の山手、京浜東北への乗り継ぎについては入場記録が無いカード類であってもその場で 160円落とせばいいわけで、連絡改札経由の記録から通過連絡の計算も可能なはずです。

 

●民鉄側の事情で決まるJR線乗車の可否

  ICOCAと SUICAの共通利用を喧伝しておきながら使えないというのは話になりません。設置者が民鉄側であり、彼等がJR西日本とは契約していないというのはあくまで事業者側だけの事情であり、JR線だけに乗るのになぜ使えないのかというフラストレーションを利用者に与えていることをもっと民鉄、さらにはJR東日本は理解すべきでしょう。

 実は一番深刻なのが京急品川における連絡改札で、ここも ICOCAが使えないのです。京急の今のイチ押しは羽田空港アクセス、当然羽田きってのドル箱である東阪シャトルの利用者も多いはずですが、肝心な品川での乗り換えが出来ず、高輪側の改札を出てJRの改札に迂回を強いられます。

 一方で東京モノレールは ICOCAでも乗れるわけで、このあたりを伊丹や関空、また山手線などでも宣伝されたら、「羽田へは京急だと間違いだ」となりかねません。品川駅でのロスを考えたら快特がいかに14分で走ろうが意味が無いのです。

 もっとも、東京モノレールがJR東日本傘下でもあり、品川の現状がJR東日本にとってはありがたい話といううがった見方も出来そうですが、品川の京急改札内にJR東海がエクスプレス予約の受取機を置いているように、品川で降りずに都交に乗られることを考えたら、もっと貪欲に取り込みたいものです。

 

●結局は整合性

 西日暮里の問題は、結局はフェアライドとICカードなどSFシステムとの整合性が取れていない話です。さらにメトロ側の精算所には常磐線各駅や武蔵野線には西日暮里接続の乗車券が買える券売機があるので次回からそれで買ってくださいと言ってるのですが、よしんばそれで乗車したとしても、では帰りはとなると、券売機の連絡会社線の口座に西日暮里接続が無い駅が山手線内にも当たり前にあるのです。ここまでハードソフトの両面でひどいケースは珍しいとも言えますが、それが現実です。

 連絡改札経由で他社に行く場合に出場記録をどうするのかと言う問題については、新大阪駅での新幹線との連絡改札が参考になるわけで、新幹線の改札機はICカード対応ではないですが、脇に ICOCAの出場記録を付ける機械があり、新幹線のきっぷと同時に入れると、大阪市内発の場合、市内駅の入口駅までの運賃(神戸方面だと塚本まで)が引かれて出場記録がつくわけで、連絡改札がそのままIC対応であればベストではありますが、次善の策にはなっていますし、それが新旧のシステムの整合性への配慮ということです。

 今回の事例は決してレアケースとは言えないだけに、早急な改善が望まれます。

 

 

 

 

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