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石北本線などの優等列車の変化
往年の石北線のクイーン「おおとり」の183系時代 (函館・1988年2月撮影) |
エル・アルコン 2006年6月7日
※写真は比較した3路線の過去の列車をお好みでピックアップしています。
和寒さんの論文
で、石北線と宗谷線の優等列車の通過車両数の比較がありました。これについて、ちょっと補足の意味もこめて調べてみました。
「札幌以遠」となる根室線、石北線、宗谷線の優等列車の本数、通過車両数、そしてライバルについて、石勝線開通の1981年10月改正直前、民営化ダイヤとなった1986年11月ダイヤ、そして定点観測気味に1996年、2001年、2006年現在です。
(本数は札幌発の直通列車。両数はグリーン車、寝台車を含み食堂車を除く。いずれも片道、定期列車のみ。航空は中標津や紋別、利尻、礼文便は除く)
宗谷線のエース「宗谷」のキハ400系時代 (稚内・1991年9月撮影) |
●1981年夏
根室線 | 本数 | 両数 | 石北線 | 本数 | 両数 | 宗谷線 | 本数 | 両数 | ||||||||
帯広 | 釧路 | 帯広 | 釧路 | 北見 | 網走 | 北見 | 網走 | 名寄 | 稚内 | 名寄 | 稚内 | |||||
特急 | 3 | 3 | 28 | 28 | 特急 | 2 | 2 | 15 | 12 | 特急 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
急行 | 4 | 3 | 30 | 23 | 急行 | 3 | 3 | 19 | 19 | 急行 | 5 | 3 | 27 | 18 | ||
鉄道合計 | 7 | 6 | 58 | 51 | 鉄道合計 | 5 | 5 | 34 | 31 | 鉄道合計 | 5 | 3 | 27 | 18 | ||
航空機 | 2 | 5 | 航空機 | 0 | 4 | 航空機 | 0 | 3 | ||||||||
高速バス | 0 | 0 | 高速バス | 0 | 0 | 高速バス | 0 | 0 | ||||||||
旭川−遠軽に急行1 | 札幌−幌延に急行1(留萌経由) 旭川−名寄に急行1 旭川−稚内に急行1 | |||||||||||||||
航空はDC-9 | 航空はYS-11 | 航空はYS-11、DHC-6 |
●1986年秋
根室線 | 本数 | 両数 | 石北線 | 本数 | 両数 | 宗谷線 | 本数 | 両数 | ||||||||
帯広 | 釧路 | 帯広 | 釧路 | 北見 | 網走 | 北見 | 網走 | 名寄 | 稚内 | 名寄 | 稚内 | |||||
特急 | 7 | 6 | 51 | 44 | 特急 | 4 | 4 | 25 | 25 | 特急 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
急行 | 2 | 1 | 10 | 7 | 急行 | 1 | 1 | 5 | 5 | 急行 | 3 | 3 | 17 | 17 | ||
鉄道合計 | 9 | 7 | 61 | 51 | 鉄道合計 | 5 | 5 | 30 | 30 | 鉄道合計 | 3 | 3 | 17 | 17 | ||
航空機 | 0 | 5 | 航空機 | 0 | 4 | 航空機 | 0 | 4 | ||||||||
高速バス | 0 | 0 | 高速バス | 0 | 0 | 高速バス | 0 | 5 | ||||||||
旭川−稚内に急行1 旭川−名寄に快速3 | ||||||||||||||||
航空はDC-9 | 航空はDC-9 | 航空はYS-11、B737(1便) | ||||||||||||||
バスは札幌−豊富3、 旭川−稚内2、旭川−音威子府1、 旭川−名寄に特急バス4 |
●1996年夏
根室線 | 本数 | 両数 | 石北線 | 本数 | 両数 | 宗谷線 | 本数 | 両数 | ||||||||
帯広 | 釧路 | 帯広 | 釧路 | 北見 | 網走 | 北見 | 網走 | 名寄 | 稚内 | 名寄 | 稚内 | |||||
特急 | 12 | 7 | 67 | 42 | 特急 | 5 | 5 | 21 | 21 | 特急 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
急行 | 0 | 0 | 0 | 0 | 急行 | 0 | 0 | 0 | 0 | 急行 | 3 | 3 | 12 | 10 | ||
鉄道合計 | 12 | 7 | 67 | 42 | 鉄道合計 | 5 | 5 | 21 | 21 | 鉄道合計 | 3 | 3 | 12 | 10 | ||
航空機 | 0 | 5 | 航空機 | 0 | 4 | 航空機 | 0 | 3 | ||||||||
高速バス | 5 | 1 | 高速バス | 7 | 7 | 高速バス | 4 | 5 | ||||||||
旭川−北見に特快1 | 旭川−稚内に急行1 旭川−名寄に快速5 | |||||||||||||||
航空はDC-9、YS-11 | 航空はDC-9 | 航空はYS-11、A320(1便) | ||||||||||||||
バスは札幌−根室1 | バスは札幌−遠軽2 旭川−遠軽3、旭川−北見4 | バスは札幌−豊富3 旭川−稚内2、旭川−音威子府2、 旭川−名寄に急行バス5 |
●2001年夏
根室線 | 本数 | 両数 | 石北線 | 本数 | 両数 | 宗谷線 | 本数 | 両数 | ||||||||
帯広 | 釧路 | 帯広 | 釧路 | 北見 | 網走 | 北見 | 網走 | 名寄 | 稚内 | 名寄 | 稚内 | |||||
特急 | 13 | 7 | 71 | 41 | 特急 | 5 | 5 | 21 | 21 | 特急 | 4 | 4 | 15 | 15 | ||
急行 | 0 | 0 | 0 | 0 | 急行 | 0 | 0 | 0 | 0 | 急行 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
鉄道合計 | 13 | 7 | 71 | 41 | 鉄道合計 | 5 | 5 | 21 | 21 | 鉄道合計 | 4 | 4 | 15 | 15 | ||
航空機 | 0 | 4 | 航空機 | 0 | 5 | 航空機 | 0 | 3 | ||||||||
高速バス | 5 | 2 | 高速バス | 10 | 9 | 高速バス | 4 | 5 | ||||||||
旭川−北見に特快1 | 旭川−名寄に快速4 | |||||||||||||||
航空はMD-87/90、YS-11 | 航空はMD-81/90、A300、B737 | 航空はYS-11とB737(1便) | ||||||||||||||
バスは札幌−根室2 | バスは札幌−遠軽2 旭川−遠軽3、旭川−北見4 | バスは札幌−豊富4、 旭川−稚内1、旭川−音威子府2、 旭川−名寄に急行バス5 |
●2006年春
根室線 | 本数 | 両数 | 石北線 | 本数 | 両数 | 宗谷線 | 本数 | 両数 | ||||||||
帯広 | 釧路 | 帯広 | 釧路 | 北見 | 網走 | 北見 | 網走 | 名寄 | 稚内 | 名寄 | 稚内 | |||||
特急 | 13 | 7 | 71 | 41 | 特急 | 4 | 4 | 16 | 16 | 特急 | 3 | 3 | 11 | 11 | ||
急行 | 0 | 0 | 0 | 0 | 急行 | 0 | 0 | 0 | 0 | 急行 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
鉄道合計 | 13 | 7 | 71 | 41 | 鉄道合計 | 4 | 4 | 16 | 16 | 鉄道合計 | 3 | 3 | 11 | 11 | ||
航空機 | 0 | 7 | 航空機 | 0 | 6 | 航空機 | 0 | 2 | ||||||||
高速バス | 6 | 2 | 高速バス | 10 | 9 | 高速バス | 5 | 6 | ||||||||
旭川−北見に特快1 | 旭川−名寄に快速4 | |||||||||||||||
航空はDHC-8、SAAB340B | 航空はMD-81/87/90、B737、 DHC-8 | 航空はDHC-8 | ||||||||||||||
バスは札幌−根室2 | バスは札幌−遠軽2 旭川−遠軽3、旭川−北見4 | バスは札幌−豊富4、 札幌−音威子府1、 旭川−稚内1、旭川−音威子府3、 旭川−名寄に急行バス5 |
根室線。ダブルデッカー車組み込みの「スーパーとかち」 (札幌・1991年9月撮影) |
こうして見ると、短絡化、高速化が一歩先んじた根室線は航空を圧倒し(2006年で増便しているかわりに小型化した)、高速バスも対釧路では付け入る隙を与えず、鉄道は本数、両数も増加しています。対帯広では鉄道、高速バスがお互い本数を増やしており、総需要を増やしたのでは。
宗谷線は名寄までの需要が下支えしている格好ですが(かつての名寄までの急行が快速化)、対稚内も案外下げ渋っています。こちらは高速バスが目立ちますが、これも出揃った後は航空ともどもうまくすみ分けている感じで、航空の小型化、名寄までの高速バスの現状維持とあわせ、高速化の効果が積極的とはいえませんが出ています。
一方の石北線ですが、唯一航空が中型機を投入しているなどの拡大傾向がうかがえるほか、高速バスの伸張傾向も見て取れます。(ここには記載していませんが、札幌から上川を経て紋別に向かう路線が4本、旭川発が3本ある)鉄道は高速化もされていないことから守勢一方で、宗谷線との差が縮まる一方です。
以上より、人口規模、拠点性からみると石北線のほうが需要が多く見えるのに、宗谷線との差が縮まる一方であること。また人口などの格差以上に根室線との格差が開きすぎていることから、高速化などの対応を取らないと、競合交通機関の整備が進むにつれて漸減傾向になることは否めません。
特に今後の旭川紋別道路や道東道の整備次第ではバスやマイカーなど自動車交通への更なる転移も予想できるため、何らかのてこ入れはやはり必要でしょう。
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