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山陽道と中国道の印象と問題



エル・アルコン  2007年 5月 7日





 年に何度か広島県下の実家に行く際に山陽道を利用しており、この連休も利用しています。超繁忙期以外の利用もありますが、だいたいが休前日から休日になるため、交通センサスの数字を見ると、私が利用している時の実感と若干差があるようにも見えます。Tomさんの議論を踏まえて、私なりの展論をして見たいと思います。



●山陽道の印象と問題ポイント

 まず、事実上の起点が2箇所あると言うことです。関西からだと大阪北摂や京都方面など、また中京圏や首都圏などからの長距離利用に関しては中国道から神戸JCTを経て流入してきますが、大阪南部や阪神間からは、六甲山の向こう側を走る山陽道への流入は、第二神明、加古川バイパス、姫路バイパスという高規格道を走り継いで山陽姫路西ICか龍野西ICとなります。このため、姫路市街を迂回するトンネル区間を過ぎた山陽姫路東IC以東では交通量が明らかに落ちる印象ですが、一方で三木小野ICなどの東播北部と大阪方面の流動があるため、センサスの数字としては段落ちが見えにくいです。

 山陽道は瀬戸内側という印象ですが、実際には瀬戸内海に面した平野部は岡山、広島市周辺を除くと狭いため、平野部の後背地になる丘陵地帯を通るため、アップダウンやトンネルが多いです。そして岡山、広島市は市街地が発達しているので、こちらも後背地の丘陵地帯を通過します。特に福山西ICから広島東ICの間は、山が海に迫る尾道、三原地区を避けて山間部を大きく迂回するため、高坂PA付近に山陽道最高地点がありますし、その先は山陽線が内陸を行くのと同様で、勾配、トンネルが多く、志和ICから広島東ICの間は急勾配です。特に最高地点をはさむ三原久井IC−本郷IC間の下り坂は事故多発地点でもあります。

 交通量自体は名神や西名阪、阪和道などと比べると明らかに少なく、超繁忙期でも自然渋滞が発生する箇所は限定的です。その発生箇所や、混雑区間も、交通集中と言うよりも勾配区間やトンネルが絡んでいる感じです。混雑が目立つのは播磨JCT−赤穂IC間、山陽IC−岡山IC間、志和IC−広島IC間で、山陽IC−岡山IC間と福山東IC−福山西IC間のトンネル連続区間は、車線変更禁止区間が延々と続くので追い越し車線に遅いクルマが入って塞栓状態になるケースがあります。このあたりの改善、特にドライバー側に漫然とした走行による速度低下への注意喚起を促すような施策や、ピンポイント的な拡幅で問題点の多くは改善されそうです。

 なお並行するR2も太子龍野BPが終わり、相生市で4車線区間が終わるとあとは低規格で、対面通行ながら全線立体、信号無しの岡山ブルーラインが迂回路として活用されますが、岡山BP区間が多車線ながら詰まりがちで、福山の赤坂BPからから尾道BPにかけての高規格区間を除くとしんどいです。なお岡山BPの立体化工事が始まったため、備前IC−玉島IC/水島ICの各区間で2008年3月末まで終日5割引となっていますが、奇しくもブルーラインから岡山BP、玉島BPと一般道経由が志向されやすい区間をカバーしているのは、利用者心理を突いた好企画です。



●中国道の問題

 ご指摘のように交通量は少ないです。ただ、山陽道から利用をシフトさせるとなると、まず岡山関係は岡山道で北房JCTまで出て利用と言うのは現実的ではなく、広島から西方向も広島北JCTまで出てと言うのは手戻りです。関西−九州の通し利用か、関西−広島(以西)の利用を誘導するくらいが現実的ですが、それとて関西側の出発地が阪神間などの場合、姫路までのバイパス利用に逃げづらい(播但道で福崎ICまで出ないといけない)こともあります。

 最大の問題は、北房IC−新見IC間と、広島北JCT−鹿野IC間の線形が悪すぎること。特に前者は勾配区間に加え、設計速度が60kmの第1種4級区間であり、後者も長大トンネルが連続したあとは急カーブ連続区間と、非常に走りづらいです。また、これはニワトリ卵の関係ですが、交通量が少ないためSAの給油所やレストランなどの施設が閉鎖されたり時間制限になっているケースが目立ち、また、路面の整備もいまひとつと、できれば走りたくないのが実情です。ですから、燃費に敏感なプロはもちろん、盆暮GWのにわかドライバーが走るには少し厳しいでしょう。

 中国道の使命として、米子道、浜田道や一般国道を介しての山陰連絡があります。しかし、これらの肋骨線が対関西をベースにした線形のため、中国地方内の移動、特に広島からの利用では使いづらいケースが出てくるわけで、米子方面へは米子道ではなく、三次ICからR54や、庄原ICからR183という「短絡」ルートに流れがちで、今後三刀屋木次IC以南の松江道が新直轄で整備されたら、落合JCT−三次JCT(仮称)間の段落ちがさらに鮮明化するでしょう。



●中国道の活用は

 上記の通り、山陽道の交通量が逼迫しているとは言いがたい状態で中国道シフトを促すことは難しいでしょう。料金でのインセンティブは効くでしょうが、厳しい線形を踏まえ、安全面を考えると好ましくありません。

 一方で米子道は4車線区間が徐々に延びるなど順調な様子が見て取れますし、浜田道も広島付近からの陰陽連絡ルートとして重きを成しています。そういう意味では、山陽道の全通で中国「縦貫」道としての使命は終えたわけで、山陽道並行区間は関西圏−米子の米子道、広島−浜田の浜田道に、三次、庄原への芸備道(仮称?)という集合体ともいえます。

 陰陽連絡や県内流動の「メインルート」から外れた区間については、非常時の幹線ルートとしての機能を維持しつつも、平時には一般国道や県道の無料高規格区間として存在させるほうが理に適っていると思います。現在、落合−新見の県道など、中国道並行区間の一般国道や県道が改修されつつあるケースがありますが、これも中国道を活用することで(ICの増設など)、生活道路としては高規格な改修の必要性がなくなるのです。



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