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鈴鹿との対比
エル・アルコン 2007年10月 8日
富士は行ったことがないので多くは語れませんが、(レース目的ではないが)鈴鹿には行ったことがあるので、その対比で語れば、やはりご指摘の通り「徒歩」というある意味最強の交通手段を封じたのは失敗でしょう。また、終了後の退場分散を図るべく何かイベントをするという手段も確かに有効です。鈴鹿の場合は遊園地や温泉もありますし、また、モータースポーツでなくても、競馬のメインレースの後にある最終レースや、相撲の弓取式、野球でもヒーローインタビューや応援団の「盛り上がり」はその機能を果たしています。
今回トヨタへの批判が多かったわけですが、同社が何かしらの関係を持った大規模イベントといえば「トヨタ万博」と揶揄された愛知万博という先例があるわけで、そこではパークアンドライドなどまずまず機能していたわけで、今回はそれをさらに「カイゼン」したどころか、大コケというのは教訓を学んでいたのか、ということになります。
問題点としてあげたいのは、シャトルバス、ツアーバスにほぼ全量を任せたわけですが、地図で見るとゲートは2箇所、鈴鹿のようにそれに接続する一般道が4車線ということもないでしょうし、右左折も絡む話ですから、両ゲートともある特定の箇所を全車両が通過することです。10万人の輸送と見積もり、各ゲート半々とすれば5万人。バス1000台です。
3秒に1台連綿と通過すれば50分で捌けますが、10秒に開けば約2時間半、20秒で約5時間となるわけです。バスを2000台用意するわけもないでしょうから、ターミナルに行って戻って来てのサイクルに乗ったバスでしょう。各駅、駐車場へのサイクルが理想どおり行っての話ですから、ちょっと伸びただけで上記の通り処理にかかる時間は伸びるわけです。
チケット&ライドにおける公共交通とクルマの分担率が気になりますが、今回国道や高速にF1起因の渋滞が認められなかったということは、東名両方向やR246、東富士五湖道路へと分散すれば本来その程度で済む「人出」だったもいえます。鈴鹿でも混雑が激しいとは聞いていますが、幹線道路(特に東名阪道)へのアクセス道路の条件は必ずしも良くない(サーキット近辺と幹線道路の間にボトルネック区間が多数ある)わけで、それでもクルマでのアクセスが「機能」しているわけです。2002年ワールドカップ輸送や愛知万博においてもそうであり、さすがに直付けは一点集中となるので難しいにしても、パーク&ライドを適切に設定することで充分対応できるともいえます。
公共交通利用と言うのが理想であり王道なんでしょうが、輸送力に限界があったり、輸送力確保に熱心でない事業者の存在、また、駅にシャトルバスとの乗り換え流動をキープできるほどの容量がないというケースもあるわけで(バス発着所が相当離れていた今回の新松田はまさにそうでしょう)、ならば充分な駐車場と乗り継ぎ待ちの滞留スペースが近接するように設計されたパーク&ライドをメインに据えたほうがマシです。
なお、輸送力確保については、今回のようにシャトルバス側に何らかの見込み違いが発生すると「空振り」と「積み残し」が同時に発生する危険性があります。臨時列車の設定をしたが、シャトルがベタ遅れになった場合、臨時を待たせない限り、ガラガラで臨時は発車し、ベタ遅れのバスが着き出した頃には今度は輸送力不足になるわけです。今回のケースでいうと、東京方面行きの臨時を出したら、その車両は3〜4時間は帰ってこないわけです。
阪神電車の甲子園輸送が試合時間の長短に対応しているといわれそうですが、それは試合終了時間という絶対的なキーが変化するわけです。一方で今回のようなケースは、絶対的なキーはそのままで、帰宅客の参集が予想外の動きを見せたということです。阪神でも意外と観客が残っていたりすると、臨時特急や臨時急行を出し切ったあとにすし詰めになる電車が出てくるわけで、今回のケースだとまさにそういうリスクがあるわけです。
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