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誰がために伊丹はある



エル・アルコン  2007年12月26日





 関西在住だとこの時間帯に伊丹に降りることは少ないので、新鮮なデータです。

 さて、関西三空港の利用を見る場合、やはり関西からの出発がメインということがいえます。三空港の利用の4割近くを占めるのが羽田線になりますが、例えばANAの羽田−伊丹、関空、神戸の各路線のデータを見ると、巨大市場である首都圏側の旺盛な需要がメインということでもないことが浮かんできます。

 ANAの朝10時までと夕方17時以降の便を見て見ましょう。朝の羽田発は三空港合わせて7便ですが、羽田行きは10便。夜の羽田行きは7便ですが、羽田発は8便あるのです。さらに「特割1」の価格を見ると一目瞭然で、年末年始の超繁忙期明けの1月運賃で、最高値の14100円の設定は朝の羽田発で2便に対し、羽田行きは実に6便。夜の羽田行きが5便に対し、羽田発は7便と、どちらに需要の太宗があるかを強烈に描き出しています。

 なお、年始に値下げされる前、12月13日までの「平常期」の「特割1」を見ると、朝の羽田発の最高値が15100円で1便に対し、羽田行きはシャトル往復割引よりも高い16100円の設定が伊丹3便、関空1便あり、15100円も1便です。夜の羽田行きは15100円が2便に対し、羽田発は3便(他に両方向とも関空便に1便ずつ16100円がある)となっており、関西発の需要が本数にも価格にも反映されていることが明確です。

 そういう前提で、では関西のどこら辺が利用の源泉かを見てみましょう。ちょっと古いですが2002年11月に定期航空協会が発表した「大阪国際空港の在り方に係るヒアリングにおける意見」における資料2を見ると、伊丹、関空利用の実に75%が大阪府北、兵庫、京都となっているのです。ただメインの大阪府北には大阪市が入るから、南北の境は大和川になるはずで、ならばもう少し関空志向があっても良いのに、兵庫県より低い「支持率」となっています。

 いずれにしても、関西圏といいながら、こと航空利用に関してはその重心は北に相当偏っているわけです。そうなると地理的に伊丹が志向されるのは自明の理といえるかもしれません。



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 冒頭に戻り、リムジンの話になりますが、この「差異」はある意味当たり前と見ます。朝の伊丹、ここからバスで大阪都心となると、関西の交通情報ではお馴染みの「池田線は塚本を先頭にXXkm……、環状線まで池田からXX分……」という渋滞が待ち構えています。それでも梅田行きの場合は環状線手前の梅田出口で出てしまいますが、なんば行きだとその先環状線を半周して湊町まで各ポイントの渋滞と戦うわけです。あとは梅田行きは10分ヘッドという気楽さも大きいでしょう。

 それと、朝の伊丹だとこれから仕事、という感じでしょうから、そうなると業務エリアに近い梅田に対し、なんばはどうでしょう。ちょっと外れています。逆に午後以降の到着で関西に帰ってきた、という感じの利用だと、なんば行きもそこそこ乗ってますし、上本町やあべの橋行きの志向も目立ちます。

 リムジンの運行も航空需要のありかを伝えているわけで、朝の到着便受けにあまり本数が出ないのに対し、朝の出発便対応は各方面大量に繰り出しています。このあたりも伊丹を含む関西三空港の利用実態を忠実にトレースしています。しかし、朝の受け入れよりも送り出しが多いというのは、二大都市圏の基幹空港の姿としてはいささか寂しいものでもあります。





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