このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

ニューヨークの地下鉄に学ぶべき事は

 

とも  2005年 2月 9日

 

 

>ニューヨークの場合、徹底した犯罪封じ込めにより市街や公共交通での治安は劇的に改善したと聞いています。

 劇的に改善したと言われていますね。特に地下鉄の改善ぶりは特筆すべきものでしょう。地下鉄で取られた対応は極めて単純です。以前(2001年)に訪問した際に見ただけですが、以下のような対応策がとられていました。

  ●制服警官または車掌を常に同じ位置に全電車に同乗させる(車内の治安対策)
  ●警官・車掌乗車車両の乗車位置付近ホーム上に「Off Hour Waiting Area」と
   いう駅係員・警官が近くに常にいるゾーンを設置(ホームでの治安対策)
  ●駅改札口は有人のみ24時間営業。閉鎖駅もある。
  ●出入り口や駅構内・車内の照度向上
  ●停車駅の変更(治安の悪い地域を通過する深夜・休日のみ運転の急行の設定)
  ●警備ボランティアの配置

 このような対策もあってか、十年前なら絶対考えられないことですが深夜23時過ぎでも女性が地下鉄に乗っていましたし、ホテルなどでも「夜間に下手に歩くぐらいならマンハッタン南部であれば地下鉄の方が安全ですよ」とまで言うほど改善されています。無論、深夜の乗車はリスクが高いのですが、それでも一昔前に比べれば格段に効果があるといえましょう。

 実際、私も21時過ぎに夜景見物のためエンパイヤステートビルに向かうべく、タイムズスクエアのホテルを出る際、安全性から地下鉄に乗ることをベルボーイに強く薦められましたし、休日にハーレム地区まで地下鉄に乗りましたが、治安の悪さは感じはしましたが「怖さ」は無かったです。実際、人種を問わず、ファミリーやティーンぐらいの女性が普通に利用してましたから、怖いという印象は出てきませんでした。

 これらの策ですが、なにも警官や鉄道会社の努力だけではありません。一般利用者・市民の努力もあって出来たことともいえます。ハーレムの帰りに見たヒップホップ系の黒人男性は、降りる際に車内のゴミをわざわざ拾って持ち帰っていましたし、ガイドブック片手の不案内な観光客をwaitingエリアに「ここがセーフティだよ」と誘導するヒスパニック系の男性も見かけました。そんなところにも「NYの地下鉄はNY市民が守る」という意識の徹底すらも感じます。

 なにも犯罪の摘発に市民が力を貸すのでも、地下鉄に対する愛着が云々でもなく、市民1人1人ができるところから車内のモラル向上に勤めていく。そういった行動が裏にあったからこその驚異的な治安回復が図れたと言えるかもしれません。

 日本の場合、女性専用車を求めざるを得ないところまで堕ちてしまっていると言えましょう。もはや考え方から変えていかなくてはならないとも言えます。警察の摘発・防犯のさらなる努力は当然です。ですがそれだけではなく、利用者自らがモラル向上に努める必要がありましょう。

 女性専用車は世界の恥。でもそれがないと安全が確保できない。そのどうしようもないレベルの低さを生んだのは他ならぬ利用者自身という点こそニューヨークの治安回復から学ぶべきことかも知れません。

 

 

 

 

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