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国内外乗り継ぎがなぜ未だに苦痛なのか
とも 2005年 2月28日
2月17日に国内3番目の本格的国際空港として「セントレア=中部国際空港」が開港した。観光客・見物人の多さが目立つが、好調な貨物便やUA旅客便の新設発表など、好調・次なるステップが伝えられる。
中部国際空港は「民間空港」という点で成田・関空との差をマスコミなどは強く伝えている。収益重視、コスト縮減、民間のノウハウなどに注目がされ、成田・関空に比べあれもこれも便利・使いやすい・快適・面白いといった評価がされている。結果として決して便利とは言い切れない自動車アクセスも、慢性的混雑で空港利用者ニーズに応えられないという報道も地元では見られる名鉄空港線も、あまりの混雑に搭乗客が食事が取れないという騒ぎも好感的に報じられるのはある意味仕方がないのかもしれない。
しかし、ここで一つ考えなくてはならないことがある。
中部国際空港のもう一つのアピールポイントは「国内外乗り継ぎが便利」である。これまでも関空はその機能を持っていたし、細々ではあるが成田もその受け皿になっていた。しかし、関空は伊丹との棲み分け、成田はあまりにも少ない国内線という事情から「地方から海外へは不便である」とされ、その裏返しとしてソウル・仁川空港乗り継ぎや香港、台北などを利用する海外旅行者が見られていた。そのためか特に首都圏以外では北東アジア国際線網の成田からソウルへのシフトを望む声すら聞かれるほどであった。
そんな中で登場した中部国際空港は実に魅力的である。多数の国内線、また国際線も充実とニーズにはまだ完全に応えられてはいないがとりあえずのニーズに応えるだけの路線網を有している。各種割引航空券での国内線格安料金や地方発ツアーの中部国際空港経由増加など国内外ハブとしての機能が見られている。
しかし、本当に使いやすいと言えるのだろうか。乗り継ぎそのものだけを考えると同じ建物で垂直移動をすればコトがたりる。主要都市からはスルーチェックインも可能で出国時には航空券だけを受け取ればそれで済む。決して不便ではないし、諸外国の国内線・国際線別棟空港に比べれば楽という意見は理解できる。
だが、実際の行動で考えてみよう。国内から海外に中部国際空港から出発する場合、国内他空港でまず中部までのチェックインと荷物の預託を行って国内線に乗り込み、中部国際空港に向かう。到着後荷物を受け取り国際線ロビーに上がって国際線カウンターに並び、チェックインを行って荷物を再び預けて出国審査を行い飛行機に乗る。
国内線と国際線が同一航空会社の場合や提携している場合には荷物のピックアップは必要ないし、チェックインも不要の場合がある。そういうケースならば良いが実際には荷物を持っての移動は必須である。
海外から国内はどうか。同じく海外空港でそのまま最終目的地までのチェックインが可能な場合と不可能な場合があるが、なんにせよ中部国際空港到着後入国審査を経て一度荷物をピックアップし、税関検査を受けて到着ロビーへ向かい、エスカレーターやエレベーターで国内線出発ロビーに上がってまた並んで再度チェックインをし、荷物を預けて乗り継ぐことになる。やはりここでも荷物を持っての移動は必須である。
移動と言っても楽は楽だが気分的には決して楽とは言えない。これが仁川ならそのまま荷物は自分の地元空港まで届けられるのであるから、中部にするか仁川にするかの選択は確かに悩ましいかも知れない。つまり、国内外乗り継ぎは「便利」だが「楽」とは言えないのではないだろうか。もし使う立場とするとマインドとして悩んでしまうのは確かだ。
そこで参考になる例が諸外国には数多くある。たとえばロサンゼルスやシカゴなどアメリカの主要空港では国際線税関横に荷物を預ける乗り継ぎカウンターがあり、ターミナル間の移動で荷物を持って歩く必要は一部格安会社利用を除けばない。チェックインは搭乗ゲートでも可能な場合もある。
シドニーやバンクーバー、ホノルルでは国際線ターミナルと国内線ターミナルが離れているが国際線ターミナルの税関横にやはり国内線乗り継ぎカウンターがありそこでチェックイン・荷物預託が可能で、あとはバスなどで国内線搭乗ゲートまで連れてってくれるか制限エリア内を近道できる。
逆の場合でも、バンコクでは国際線目的地までスルーチェックインした旅客の荷物は国際線ターミナル出発階で受け取ることが出来るサービスが一部で行われている。
このようにできるだけ荷物を持って歩かせない、並ばせない工夫はできないものだろうか。せっかくの国内外乗り継ぎ可能空港である。便利は便利だが楽ではないという状況の改善こそ必要なことではなかろうか。
就航地で見て中部・関空と大差がない仁川や台北経由が地方都市では便利な現状は決して良いことではないのだから。
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