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韓流ブーム ついにここまで

 

とも  2005年 5月31日

 

 

 日本国内どころかアジア全域で起きている韓流ブーム。韓国映画やドラマ、また韓国のミュージシャンの活躍はめざましいものがあります。韓国映画やドラマは確かに面白い物が入ってきているなとは感じます。

 韓流ブームの火付け役となった「冬のソナタ」、さらにドラマ「天国の階段」「美しき日々」、映画「シュリ」「猟奇的な彼女」「JSA」「ブラザーフッド」「シルミド」等々どれもストーリー、展開の良さもあってヒットを飛ばしています。

 また、俳優陣も、社会現象となっているペ・ヨンジュン、イ・ビョンホン、ウォンビン、チャン・ドンゴンのいわゆる「四天王」に、日本のドラマにも出演しているパク・ヨンハ、「天国の階段」のクォン・サンウ、「シュリ」のハン・ソッキュ、「シュリ」「JSA」のソン・ガンホ、「猟奇的な彼女」のチャ・テヒョンなどなど日本でもおなじみとなりつつある俳優がドンドン出ています。

 また、女優でも「冬のソナタ」「天国の階段」のチェ・ジウ、「シュリ」のキム・ユンジン、「猟奇的な彼女」「僕の彼女を紹介します」のチョン・ジヒョン、「ブラザーフッド」のイ・ウンジュなどなどこちらも実力派揃いとなっています。また、音楽でも BoAやK、 Ryuなどやはり韓国人アーティストが出てきています。

 このような韓流は日本だけではなく、香港や台湾、中国、シンガポール、タイ、マレーシアなどにも広がっています。これは日本のドラマが東南アジアで盛んに流れていたり、台湾や香港で安室奈美恵や浜崎あゆみが、タイやシンガポールで宇多田ヒカルが普通にFMなどで流れてくる、GLAYが北京でライブを行うなど高い人気であるのと同じことで、人々に受け入れられ「ジャンル」として認められつつあるということでしょう。

 

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 さて、そんな韓流ですが、芸能や音楽などの分野だけではなくなりつつあります。

   日本初、韓国製バス 下関市のサンデン交通 7月から運行(5/27 西日本新聞)
   韓国製観光バスを初導入 下関のサンデン交通(5/26 共同通信)

 サンデン交通が観光バスに韓国大宇バス製造のバスを導入するとのこと。価格が安く、品質も日本のものに近づけ、また装備なども日本製と遜色ない物とすることで導入されたとのことです。韓国から近く、韓国人来訪者が多い下関という立地はあれど、乗用車すらなかなか普及していない韓国製自動車を旅客営業用として導入するというのは驚きです。

 日本は自動車産業国であり、少なくともアジアでは絶対優位ということは国民認識としてありましょう。過去にフィリピン製のバスがありましたが、あれは日本メーカーの現地生産ですから日本車といえます。国内でも乗用車は当然のこと、ドイツやベルギー、フランスなどヨーロッパ製のシャーシを積んだバスが走ってはいますが、すべてヨーロッパやアメリカ・カナダの車両です。韓国製の乗用車はなかなか見ることは出来ません。

 ところが、今回のサンデンに入るバスは韓国製。同じアジアからバスを輸入するというのはなかなか理解しにくいところです。

 しかし、視点を変えて他のアジア・オセアニア各国の状況で考えてみましょう。アジア・オセアニアの各国ではこれまでの混沌とした交通網から整然とした「交通システム」への変貌を遂げるべく、各地でバスなどが新規導入されています。典型は「判らない」「怖い」「言葉が通じない」で旅行者には使いにくいとされていたタイやマレーシアの路線バスで、すでにノンステップバスや連節バスが導入されるなど近代化がすすめられています。また、上海や北京でも「共産圏然」としたバスシステムから近代的なものに生まれ変わろうとしています。パース、シドニー、ブリスベン、クライストチャーチ、アデレードなどでもバスの拡充が進んでいます。

 そんな各地のバスを見てみると、意外なことに気がつきます。

「日本製のバスが少ない。」

 よく見かけるのはリエッセやローザなどのマイクロバス。大型は貸切バスこそ「日野」「三菱」の車両を見かけますが、年式が古い物が多いです。一方、路線バスはというと「バスの国」ともいわれる香港やシンガポールでは日野や三菱のバスが少々見られる程度。殆どが欧米製のバスとなっています。

 そして最近、台頭してきたのが韓国製です。韓国のバスメーカーは各社とも日本のメーカーと提携しており、ヒュンダイの貸切バスは三菱の貸切バスそのままです。しかし、今やシャーシやボディだけではなくエンジンも自前のものを用意しつつあり、協力・提携はしながらも独自の路線を進んでいます。

 このようにアジア・オセアニア圏で日本製のバスが見られなくなりつつあり、そして台頭しつつあるのは韓国製。乗用車はまだまだ圧倒的に日本車が優位ではありますが、バスの分野では韓国製が台頭しつつあるという現状は日本のバス産業にとって厳しいものです。

 ノンステップバスの導入が進まない要因として「台数が少なく高価になる」という点にあると言われる現状の中で、メーカーとして如何にして台数を増やし、スケールメリットを生むかと考える中で、海外市場というのは一つの解決策です。しかし、海外市場ではすでに日本製の居場所はなくなっている……。

 しかも日本製のバスは海外のバスに比べ、チープなデザインといいますか、なんだか安っぽい印象は否めず、品質は良いのでしょうが今ひとつインパクトに欠けてしまっている。そして、ついに日本の事業者が韓国製に手を出した。この現実は厳しく受け止める必要があります。

 

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 昔、韓国製の工業製品と言えば品質に問題があると言われてきました。ですから韓国映画やドラマといっても内容や出来を期待しない人が圧倒的であったでしょう。

 しかし、近年の質が伴った韓国映画やドラマがこれだけ支持されている。「シュリ」を始めて見たとき韓国映画という意識はありませんでした。「猟奇的な彼女」は純粋にラブコメディとして見ることが出来ました。「冬のソナタ」の大ヒットを見れば、もはやその質が日本人に受け入れられるレベルにあるといえるのでしょう。

 今回のサンデン交通のバスも質が韓国映画やドラマのように伴っていたら……。ジャンルは違いますが否定はできないのです。そうなれば、交通の世界にも「韓流ブーム」が起きないとも限りません。

 数年前、日本のテレビやCMにこれほどまでに韓国人俳優が出ていると思っていた人はおそらくいないのですから。

 

 

 

 

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