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関東バス運休問題を考える



とも  2006年 4月14日





 昨年12月に報道された際に対象となったのはJR吉祥寺駅(武蔵野市)を発着する路線(武蔵野営業所管内)で1日10便でしたが、それ以後、他の営業所管内でも発覚し、その本数は月800便にものぼっていたとのこと。

 
左:混雑が酷い吉祥寺駅周辺     右:全国屈指の運行便数である青梅街道

  関東バスの間引き運転は月800本(日刊スポーツ紙 2006.3.6)
  関東バス労働組合のお詫び
  関東バスのお詫び

 原因は比較的単純で渋滞により定時の運行ができず、大幅な遅延が常態化し、結果として欠車となったというもの。利用者からすれば来るはずのバスが来ないわけですから信用できないということになります。当然ながら関東バスへの批判は強く、WEB上でも厳しい指摘が相次ぎます。特にここ数ヶ月、事故が多発していることや、もともと関東バスには運転が荒い・運転手の態度が悪いという印象が地元にはあり、それと絡めた批判が多くなります。

 ところが一方で、「周辺のあまりに酷い混雑を放置している行政が悪い」「自家用車を利用する人々が悪い」などなど関東バスを擁護する意見も目立ちます。確かに関東バスの路線環境は非常に悪いといわざるを得ません。朝夕のラッシュ時はむしろ空いているほうで、日中や夜間にも慢性的に渋滞するような劣悪な道路が多くなります。特に杉並区内は論外というレベルで、とてもバスが走るような道路ではないところにバスを運行せざるを得ないという状況にあります。

劣悪を通り越して呆れる次元といえる杉並区内の道路環境
 
左:バス1台が通るのがやっとでも交互通行の荻窪団地付近 右:朝は専用道路運用をしているが非常に狭い旧環八区間

 あまりに劣悪な道路環境と都内でも屈指の交通渋滞地域を走行する以上は定時性はどうしたって劣りますし、それをダイヤに見込むには限界があります。しかもその混雑は当然ながら一定とはいえず、高速道路を結ぶ広域道路である環八から狭い路地まである中で予見することは極めて困難です。そう考えると、関東バスの今回の一件は「意図して」行ったわけではない、いわゆる「欠便・欠車」であり、「意図して行った」意味合いの強い「間引き」とはいえないものでしょう。

 とはいえ、一方で福知山線事故でJR西日本が批判されたのと同じく、「不可能なダイヤ」を長年放置してきたことは批判されても仕方が無く、商品であるダイヤが信頼性をもてないということではお話にならないのも事実です。その点の批判は当然です。ただ、それもこれも「利用者にとっての利便性」を本来的に評価軸にすべきであり、決して「法制度」「そういうもの」というだけで語られては困りますし、国交省もその視点で処分をするようでは困ります。

 今回の報道を受けて一部では大幅減便を含むダイヤ改正が実施されました。今まではわりと柔軟に乗客の流れや交通混雑を踏まえ行き先の入れ替えや臨時増便などが行われていましたが最近では見かけません。利用者にとっての利便性を考えたとき、果たして今回のこの騒動が何を与えたのか。考えてみる必要がありそうです。



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