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ATはグローバルスタンダードではない



とも  2006年11月 7日





 私は免許を取って16年になりますが、ここ 5年ほどはやむを得ずATですが、それまでは一貫してMT車に乗っていました。

 最近はAT限定免許が多いようで、ここ数年の免許取得者ではMTを運転できない方が相当数いるようです。経済産業省の資料によると、平成15年度末時点で新規免許取得者のうちAT限定免許取得者は28.9%。全免許保有者の7.5%を占めるまでになっています。一方、自動車登録台数で見ると、自動車工業会の調べでは95%がAT車。つまり、日本ではATがスタンダードであり、MTはマイナーな存在です。MT車を購入しようとすると本当に限られます。

 ところが、海外に行くと話は変わります。たとえばヨーロッパではMTが主流です。特に小型車はほとんどがMTであり、例えばイギリスではトヨタ・ヤリス(日本ではヴィッツ)はMTが18タイプ(グレード・仕様差による)であるのに対しATは1タイプのみ。レンタカーなどもほとんどがMTであり、ATは数少ない存在です。また一時期はMT車って何?なんてことも当たり前だったアメリカでもMTが増えており、トヨタ・マトリックス(カローラランクス)のようにMTのみ設定という車種もあります。オーストラリアなどでもMT車は小型車では一般的であり、日本のようにほぼATで小型トラックまでもという国はさほど多くはありません。ですからレンタカーなどではMT車に当たることも多く、海外旅行系のブログやサイトなどでもネタに出されるものです。

 AT車はMT車より楽ではありますが、運転が簡単な訳ではありません。ところが、日本では「簡単」というイメージが先に出ます。免許取得の難しさもあってか特に女性でMTを忌み嫌う傾向もあり、AT=楽・簡単、MT=難しい・マニア向けという構図が自然とできあがっているとも言えるわけです。これが日本におけるクルマの販売動向にもつながり、結局MT車が衰退するという流れになっているといえます。

 しかし、前述のように、海外では小型車を中心に省燃費などの追い風もあってMT車の巻き返しが見られます。場合によっては日本メーカーは海外向けにMT車を作るけど国内向けはATということになり、逆に小型車用ギアボックスではATが大幅に製造コスト面で割高になる可能性もあります。そのとき、果たして今の「簡単」ということだけでATしか選択肢がないという状況が本当によいのか、考える必要はありそうです。

 そもそも標識も道路交通法規も世界の流れと合致しない日本の道路交通において、車両までもトレンドが正反対になる。このような差異はもはや「歪み」といえるものなのかも知れません。世界一の自動車大国という状況はあるにせよ、この差異が崩壊の引き金にならないことを願いたいところです。





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