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「減速ダイヤ」の「ねらい」を考えてみる



とも  2007年 1月23日





 今回の減速ダイヤ改正ですが、昔の快速にしましょうやということなんですね。これには私は3つの側面があると考えます。私なりに「狙い」を推察してみましょう。

 まず1つは皆様が書かれているような「混雑緩和」としての均一化です。結局は二子玉川以西では鷺沼か二子玉川で急行に乗り換えるのが基本になっています。鷺沼以西では急行先着が基本であり、二子玉川以西では2本に1本が急行先着です。そのため、普通との利用者数の差が少なくとも二子玉川ベースでは激しい上にさらに(旧)新玉川線区間内の各駅の乗降が非常に多く、急行直後の普通(特に桜新町待避)の混雑も渋谷到着時にはバカにならないレベルになっています。さらに言えば、現状で急行があまりにも混雑し乗降に時間を要するために梶が谷で抜いた普通に溝の口〜二子玉川で追いつかれて続行運行になるというよくわからない現象が生じており、これらの偏った混雑の緩和を図るということもあるでしょう。積み残しも日常茶飯事であり、であれば全列車を二子玉川以東普通とする方がむしろ効率的に輸送が可能で、渋谷の混雑緩和も図れるだろうという判断と考えます。(つまり遅れを極小化できる=速達化と同様の効果)しかも現実問題としてその所要時間増がどの程度かを考えると、後述による効果も含めれば実は大差はないのではないかとも考えられます。

 2つ目は建設中の横浜4号線の存在です。港北ニュータウンが成熟期に入り、人口も増えている中で現在は実質的に対東京については横浜地下鉄3号線があざみ野に入っていることや距離的に近い上にバス路線網が比較的充実していることもあり、田園都市線のみで輸送を受け持っています。ここに横浜4号線が加わりますが、今のダイヤのままでは日吉回り渋谷とあざみ野経由(あるいはバス利用鷺沼・たまプラ経由)での差がそれほど大きくはならないことが考えられます。一方で日吉側は13号線直通&東横線の改良・目黒線の延伸もあり輸送力の増強が可能である上に、湘南新宿ラインによる東横間利用の減少という問題も抱えています。そこで、港北NT、あるいは田園都市線沿線東側について一部でも4号線に転換を図れれば東急としては自社の空いている路線に客を振り分けることが可能であり、なおかつ13号線乗り入れ効果も期待可能ということで大きなメリットがあります。しかも現状の田園都市線急行との時間差は小さいですから利用者のデメリットは小さくなります。

 3つ目は大井町線急行です。大井町線を田園都市線のバイパスとするには大井町線の速度が高くないとなりません。しかし待避施設が満足に出来ない現状では大井町線それほどのスピードアップは見込めず、あくまで見た目=ダイヤ上の所要時間では田園都市線に対する競争力が無くなります。となると、いくらバイパスにとなっても転移はさほど見込めず、混雑緩和に寄与しない可能性があります。そこで、大井町線急行と同時に見た目所要時間を遅らせ(実際には遅延含みの現実ダイヤと同程度でしょうが)、大井町線に競争力を与えていると考えられます。本数が少ない点は難しい問題ですが、ガス抜き程度にはなるはずです。

 一見すると急行の格下げは利用者にマイナスですが、実は混雑緩和を最大限発揮するためのものと考えられるのではないでしょうか。私も通算で7年間、田園都市線で通勤(梶が谷・溝の口〜渋谷・大手町)しましたが、その苦痛の度合いは並大抵のレベルではなく、よく言われる地下鉄東西線や日比谷線、一昔前の総武快速線などと比較しても別次元の苦痛といえるほどの混雑です。遅延も当たり前、時間通りに走ると「珍しい」と思うほどです。その中では急行が普通になって所要時間が延びても、遅延がおさまればむしろ通勤は楽になり実質所要時間も短くなることも考えられます。少なくとも宮前平以東の急行通過駅では急行に乗る必然性がないですから混雑の均等化効果は大きいですし。

 この狙いの読みは深読みしすぎでしょうか……





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