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隣国の空港アクセス鉄道 暫定開業への疑問



とも  2007年 2月26日





 金浦〜仁川間が 3月23日に暫定開業するそうで。
   アクセス鉄道開通を伝える記事
 しかし、いろいろ問題はありそうです。



・本数

 各駅停車は12分毎(毎時 5本)、直行列車は毎時1本。どうせならすべて各駅停車にすれば10分ヘッドで33分の所要時間という空港鉄道としてはある種理想的なサービスレベルになるのですが、中途半端に優等が残ってしまうおかげで中途半端な印象を持ってしまいます。



・料金

 金浦〜仁川間で各停が3100 ウォン(約400円)、直行が7900ウォン(約900円)。日本の水準からすればまぁまぁの値段ですが、地下鉄の初乗りが700ウォンで共通乗車制度を採用し、2000ウォンもあれば都市圏はおろか100km圏にまでたどり着くソウルの運賃水準を考えると、共通運賃制度の対象外ということもあって割高感は強いです。外国人訪問客には手頃なお値段で良いですが、ソウル都市圏の住民には少々使いにくいのではないでしょうか。また、5分差で500円の運賃差というのも日本では考えにくいです。車内環境の差(各停はロングシートの通勤電車)はありますが、それにしても倍半分の差はどう動くのでしょうか。むしろこれで外国人観光客の利用動向がどう変わるかは非常に興味深いです。



・営業区間

 今回の営業区間は金浦空港〜仁川空港です。東京の羽田〜成田や大阪の関空〜伊丹とは異なり、都心を通らないルートになります。イメージ的には成田空港行きの高速鉄道が東松戸を起点とするようなものですから、いくら空港があるとはいえ対都心の利便性としては低いと言わざるを得ません。ソウル市内に行く場合には金浦空港駅で地下鉄5号線に乗換ることで可能ですが、この5号線と金浦空港ターミナルが妙に離れていることもあり、果たして乗換が便利なのかは疑問です。また日本並みに混雑するソウルの地下鉄に荷物を持って乗れるのかということもあります。今の段階で「成田が近くて便利に感じる」と韓国人ガイドが自虐的に表現するレベルの仁川空港ですからとりあえず開業させたことそのものは否定しませんが、もう少し工夫があっても良かったかも知れません。



・所要時間

 開業延長37kmに対して優等28分ですから、日本で言えば京急のエアポート快特並。まぁ悪くない速度でしょう。ところが、ソウル市街からで考えるとソウル駅から50分、明洞からだと1時間、江南でも50分は超えます。とすると、見た目こそ早いですが端末がどうしようもないという課題があります。これを空港鉄道に改善すべきと突きつけるのはさすがに酷ですが、イグレスをどうするかという点を考えているのか疑問は残ります。

 まずは暫定開業後、どうなるのか。「このレベルでどの程度鉄道利用があるのか」という意味で興味深い点を示してくれそうです。





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