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付加車線・登坂車線の上手な活用



とも  2007年 8月17日





 登坂車線やゆずり車線、追い越し区間については諸外国でも設置のスタイルが様々で、部分拡幅なのか付加車線なのかというところも解釈は様々であって、何が正解かというのは非常に難しい問題です。ただ、今の登坂車線、あるいはご指摘の区間については何にしても少々問題がありそうです。





1 車線変更を遅い車に強いる不合理

 今の登坂車線というのは一部の国道を除き、基本的には「遅い車が除ける」という形態になります。そのため、遅いと認識している場合は登坂車線に入ることで除けてくれますが、認識していない車両は除けません。よって、今の日本のように「他の車両の円滑な走行を阻害しない」という意識が希薄な場合、走行車線に居座る車両が増えます。結果、登坂車線がガラガラになり走行車線・追い越し車線が混雑することになります。(逆も言えて追い越し車線を占拠して他の車両を蹴散らすようにすっ飛ばすのも走行車線の円滑な流れを阻害している)

 もし、最初から遅い車は自然と登坂車線に入るとすればどうでしょうか。すなわち、走行車線がそのまま登坂車線となり、第二車線は第二走行車線、最右は追い越し車線となります。この場合、速い車は第二走行車線へ車線変更して追い越していきますので遅い車によるボトルネックが生じません。遅い車は自分のペースを保って車線変更という操作をせずに登れますので安心です。こうすることで登坂車線の利用効率を上げることができます。ご指摘の東名音羽蒲郡付近の登坂車線はこういう使い方をすれば利用が上がるパターンと言えます。





2 ホントの鍵は終端部の処理

 車線変更が苦手という人が世の中には大勢います(そういう人が免許を持つのはどうかと思うが……)。そういう方には登坂車線への車線変更も怖いし戻るのも怖いのです。また、登坂車線を走行してきた車両は走行速度が低いですから、登坂車線の終端部で遅い速度で速い流れの走行車線に復帰するという難しい運転動作を求められます。

 そこで、登坂車線をそのまま走行車線にするという方法があります。前項と組み合わせると走行車線が付加車線になるのですが、現状の登坂車線の形で処理する方法もあります。例えばオーストラリアなどでは登坂車線は日本と同じように左側に設置されています。右車線の走行車線をそのまま走行すると、登坂車線終点部で左車線に合流を求められます。つまり、走行車線が追い越し車線に代わり、登坂車線が走行車線に変わるのです。その結果、遅い車は自分の走行していた車線が「追い越し」になるので車線変更をします。

 これにより、速い車は遅い車の動向を見ながらタイミングを計って左車線に合流することになります。遅い車はペースを乱さず走行可能であり、運動特性上優位な速い車に速度調整をさせることでスムーズに流れるようになります。





3 単なる車線拡幅では実は意味はない

 2車線区間で一部3車線にすることで円滑化を図ることはもちろん可能ですが、登坂車線設置区間では単純にそれをやると錯綜が生じてしまい混乱して円滑にならないケースが多くなります。これは登坂区間では通常の3車線区間と異なり、速度差があまりにも大きいため車線変更による復帰が難しいこと、さらに遅いと認識していないドライバーは結局車線変更をしないケースが出てきてしまい、意味がないのです。

 また、拡幅を行う場合の法制度の問題(環境影響評価=部分拡幅でもアセスが必要)、法制度上の位置づけ(車線数は法律で定められており、部分拡幅でも車線数変更が必要 ex長い付加車線のある横浜町田〜厚木間は8車線に変更してある)といった問題が出てきます。ですから、現状の付加車線・登坂車線を「上手に」使う・使わせることで、円滑化を図っていくことが一つの当面の解決策と言えましょう。





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