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JR予約サービスの疑問〜〜「えきねっと」と「EX-IC」



とも  2008年 1月29日





1.無知を恥じる

 年末年始、我が家は東京から妻の実家がある香川県に帰省をしました。我が家にはまだ 3歳の子供がいること、さらに家族の都合などもあり妻子は長めに滞在することとなりました。さらに、妻が妊娠中なので、私が出張で大阪に出向く機会があったのでそれを組み合わせて同行することになりました。

  12/23 東京→香川(妻子+私)
  12/25 香川→大阪→名古屋→東京(私)
  12/29 東京→香川(私)
  1/5  香川→東京

 このように都合2往復することになりました。

 我が家はJR駅までバスや私鉄で行けますし、自転車でも無理はない距離ですが、私の出張でも無い限り滅多にJR駅に出向くことはなく、帰省時のきっぷの手配は面倒。そこで、JR東日本のインターネット予約サービス「えきねっと」を利用することに。

 この「えきねっと」、当初こそ酷評されていましたがリニューアルを重ねる毎に操作性が上がり、現在はかなり使いやすいサービスになっています。予約対象もJR東日本管内に限らず、一部例外はありますが全国の予約が可能であり、我が家の行程でも東京〜岡山の新幹線に加え、「しおかぜ」「南風」、さらに「マリンライナー」も予約可能ということで、JRの駅まで不便な我が家にはありがたいサービスです。ということで、今回は私の 12/25以外の行程について「えきねっと」で予約しました。

 発券はJR東日本管内の駅のみ。ということで出発前に全ての行程について駅で発券し、香川に向かいました。

 ところが、実家の都合もあって帰りに妻子が遅れて帰ることになり、 1/5のチケットを当日にJR四国の駅で払い戻ししてもらうことに。妻の実家最寄り駅(ここは多少遠いが歩いていける)は委託駅で窓口が無く、少し離れた駅に行く必要があるためです。

 窓口でお願いしたところ、駅員から「払い戻しは東の窓口で」と言われます。所謂「C制」ですから当たり前です。駅員はきっぷにスタンプを押しただけで戻してきました。「払い戻しの証明印です。これを見せれば払い戻しできますので」とのこと。

 そして、東京に帰った私はその足で近所のJR東日本の窓口で手続きをします。すると……

駅員「お客さん、新幹線か特急に近々乗る予定は無いですか?」

 とまず聞かれます。

私「金曜日(1/11)に名古屋まで乗りますが……」

駅員「はぁ……そのことを四国の駅で仰いましたか?」

私「いえ。聞かれてないので……。日付の変更はできるとは仰ってましたが、区間の変更は特に……。金額が安くなる変更はできないので『ひかり』への変更もできないと」

駅員「うーん。できるんですよね。たとえば東京→名古屋へ変更して差額返金すれば手数料かからなかったんですよ。もちろん『ひかり』でもOKです」

私「え………でも、カード払いなのでここでは払い戻しの証明しかしないと言われたのですが」

駅員「カード払いでも変更の扱いをして差額分の返金証明を出せるはずなんですが。あれ? もしかしてこれ……。あ、隣の席ってずーっと空いてました?」

私「ハイ。ずーっと」

駅員「何やってんだ……マルスに戻してないよ。すみません。お客さん。完全に説明不足ですね。ウチは会社が違うのでこれといった対応はできないですが……申し訳ありません」

 そういうと駅員氏は頭を下げました。そうです。変更はできるのです。

 私自身、年間百回近く新幹線に乗る「プチ・ヘビーユーザー」ですので変更は何度と無く経験しています。確かにカード購入でも変更は簡単にできます。ただ、区間を含め変更できるとは全く知りませんでした。鉄道ファンの方々からすれば「そんなもん常識だ」と言われるのでしょうが……。そして、さらに指定券をマルスに戻していないため、帰省ピークの 1/5午後に隣席が常に空席という状態になっていたのです。

駅員「今日払い戻しだと割高なので3日前くらいにしておけば安かったんですよ」

私「でも駅が遠くて駅までなかなかいけないですから……」

駅員「それじゃー仕方がないですね……でも、えきねっと予約ですよね。でしたら発券前に変更なら手間もかからなかったんですよ。あ、でも四国なので発券はできないか。東北などで同じような場合は2日前までにweb上で変更手続きできますから発券前にしておくと良いと思いますよ」

 ずいぶん親切な駅員で、この辺を詳しく説明してくれました。確かに「えきねっと」での変更は駅に行く必要もなく、携帯でも可能です。私も出張時に何度か使ったことがありますが、今回は難しい話。まぁ私の無知を恥じる以外ないのかもしれませんが……。





2.なぜにバラバラ?JRの予約サービス

 今回は四国でしたので、えきねっと発券はできず、また変更の手間も非常に面倒でした。さて、もし、「えきねっと」発券を四国の窓口でできればどうだったのでしょうか。

 払い戻しであれば手数料こそかかったでしょうが、少なくとも変更という選択肢は簡単に見つけられましたし、また私の隣席分1人が座れたのです。もっといえば、予約状況などから私も行程そのものも変えられたかも知れません。

 無論、隣席分はJR四国の駅員がきちんとした対応を取れば無駄はなかったのですが、駅では対応できないからそういう処理になったとすれば、仕方がないことではありますが……。

 JR各社が提供する予約サービス。しかし、同じ「JR」でありながら予約サービスに互換性がありませんから他社管内で受け取ることができない。これは非常に不便な話です。「えきねっと」だけではなくJR西日本の「e5489」でもJR東海の「エクスプレス予約」でもいいのですが、もし各社で予約したものを出発駅近くで受け取れれば利便性は飛躍的に高まります。

 航空の場合、予約して支払いをカード、あるいはコンビニで済ませれば後は空港に行くだけです。たとえ北海道でも沖縄でもそれは変わりません。鉄道は上記予約サービスを使えばカードで決済して後は駅に向かうだけで済み、航空の利便性に近いサービスを提供できるのです。今現在で東日本管内全域と西日本の一部、東海道山陽新幹線ではそれができるのですが、互換性がないだけなのです。

 そして、さらなる問題は「カード限定」という点です。「えきねっと」にしろ「e5489」にしろクレジットカードが必須です。そこは仕方がないとしても(実際無審査のVISAデビットでも利用可能なので学生などカードが作れない人でも利用はできるので)、エクスプレス予約のように「JRのハウスカード」入会を原則としている場合はハードルが高すぎます。

 新たに始まるEX-ICサービスでも、JR東海のエクスプレスカードかJR西日本のJ-WESTの保持が基本で、モバイルsuicaユーザーでかつViewカード(ただしイオンviewなど一部提携は除く)登録者のみが使えるサービスであり、航空大手2社のICサービス(現金でも可能)に比べると使いにくさは否めません。





3.「囲い込み」で得をするのか?

 さて、「EX-IC」。なぜにこうなるのでしょうか。同時にサービスを開始する「モバイルsuica」特急券は特に制限がありません。現在のEASY以外の会員は使うことができます。もちろん「モバイルSuica会員限定」ではありますが、カードさえ持っていれば制限はないわけで、ハードルは言うほど高くはないです。

 ところが、EX-ICの場合はハウスカード限定です。しかも東海道新幹線の場合は紙ベースの予約すらwebから行うとするとハウスカード以外のクレジットカードでは「えきねっと」以外は利用できません。しかも名古屋や新大阪では受け取れないのです。法人カード以外ではエクスプレスカードとJ-WEST、限定的なviewユーザー以外利用できないというのでは、航空に比べると明らかに利便性に劣ります。

 JR東海は盛んに宣伝をしてますが、クレジットカード入会というのはモバイルsuicaに比べれば格段にハードルが高いです。現状で東海道新幹線利用者の約20%がエクスプレス予約というデータがありますが(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070724/130542/)、JALのネット予約割合が40%(2004年)であることを考えると低いと言えます(http://k-tai.ascii24.com/k-tai/news/2004/08/05/print/650965.html)。つまり、あえて囲い込みをする理由が見えにくいのです。

 事実、同じくハウスカード限定であったモバイルsuicaの場合、viewカード限定から一般カード開放を行った結果としてユーザーを増やしています。エクスプレス予約にも同じことは言えるのではないか、そう思えてなりません。結局、一部ユーザーだけが使いやすいサービスをハードルを高くしてユーザーを増やそうとせず、囲い込みの形でサービスを提供し、それ以外のユーザーは知らんぷり……。どこを見たサービスなのだと疑問に感じざるを得ません。





 JR各社が提供する各種サービスは便利なモノがあります。しかし妙に制限が多かったり、会社間の相互サービスがされないなど利用者に「不便」と思わせるに十分なものであるのも事実です。各社は独立してますからあえて相互利用する必要はないという考え方もできますが、一方で利用者からすれば同じJRなんです。

 真の意味でなにが利用者に便利なのか。JR各社には考えて欲しいものです。





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