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小説風「EX-IC と新幹線」



とも  2008年 5月 1日





  Tom様ご紹介のモバイルSuica特急券に続いて、JR東海が東海道新幹線で EX-ICサービスを開始しました。こちらも主旨はおなじ「チケットレス」。ただ、モバイルSuica特急券とは全く別の仕組みとなっています。先日、仕事で名古屋へ入った際に使ってみましたので使用した感想を含め、述べてみたいと思います。まずは序章から……





4月 1日夕刻

 年度末のバタバタも一段落し書類整理などに追われていたところ、お客様から一本の電話。

「Mの○○と申しますが。ともさんですか? 先日の報告書で差し替えたい場所があるのですが、対応できますか? いまからすぐ。修正内容は○○を○○の図にさしかえて、○○のデータ分析をやった結果を後に。こちらに来て差し替えしてください。説明も欲しいので」

「え……作業時間が……あの……私、東京なのですが、行くだけで夜になってしまいますが。さらに分析だけで半日かかりますし。今日は無理です」

「うーん……じゃー明日の午後イチで。お願いしますね」

 お客様とはいえ無理難題である。客先は四日市。とはいえお客様のご要望(フォロー)だからこそ行かないわけにもいかない。「午後一」に四日市ということは12時頃には名古屋駅に到着が必要。ということは東京駅10時頃の新幹線になる。春休み時期だし博多行は混雑するから新大阪行き臨時を押さえるか……。回数券を買うのに一々降りるのも面倒、そしてかといって個札だと新宿駅は大回りが必要だ……。

 そしてふと思い出す。「そうだ! 東海道でEX-ICが使えるんだ!」

 そこで、携帯からエクスプレス予約サイトへ飛び、操作をして会員登録。さて、使おうか……とおもいきや「会員証が届くまでご利用になれません」。仕方がない。諦めて新宿で回数券を購入することにした。結局、会員証が届くのはしばらく先の話となった。





4月23日

 急遽 4月25日に名古屋への出張が決まった。朝10時半に名古屋着となるので、 8時半東京発の新幹線に乗る必要がある。連休前の金曜日、しかも朝。混雑は必至でありこういうときこその 「EX-IC」である。しかし、未だに会員証は届いていない。一週間で届くといいながらすでに20日が経過していた。

 半分諦めつつ自宅に帰ると不在郵便の通知がある。JR東海からのものだ。この日は郵便局に行けないことから、24日夜に受け取りに行くことを決める。会員証が手元になくても予約くらい出来ないのか……そう思いエクスプレス予約サイトから進んでいくと……あっさり予約が出来てしまった。「IC乗車可能」の表示と共に。座席位置は番号指定できるのかと思ったが、どうもA〜Eと前後中央くらいしか指定できないらしい。PC版では座席マップを見てできるというからそれでいいのだろう。

 なんとも煮え切らない思いだったが、とりあえず往路の予約は出来た。あとは乗車である。





4月25日(前半)

 前日夜に会員証を郵便局で受け取る。同封された分厚い「ご利用ガイド」を読んでいると頭が痛くなってきた。イロイロできるらしい。viewカードでe特急券の発行も出来るようだ。これは岡山へ行く機会も多い私には嬉しいサービスだ。

 これでますます航空利用が減りそうでもある……。なぜかといえば EX-IC運賃が魅力的なのだ。いくら特定市内駅制度が無いと言っても、いつも使う新宿−名古屋、新宿−大阪なら明らかに安い。しかも繁忙期も同じ値段だ。これを使わない手はない。

 当日朝、京王線で新宿に向かう。新宿では連絡改札をモバイルSuicaで通過。中央快速で東京駅へ。やはり想定通りだ。構内はかなり混雑している。混雑する窓口や券売機横を見つつ、改札口へ向かう。予約も簡単、発券も簡単。今のところ言うこと無い。改札口に携帯をタッチさせると精算料金の表示があり、きっぷ排出口から「ご利用票」が出てくる。

 モバイルスイカ特急券とは異なり、 EX-ICの場合にはダウンロードなどは必要がない。 EX-IC会員カード番号で乗車が出来る仕組みのようだ。 JALや ANAのICサービスと同じである。

 だからだろうか、航空2社のサービス同様、座席番号などが記されたご利用票が出てくる。唯一違うのは航空会社がペラペラのレシートであるのに対し、 EX-ICご利用票はきっぷ同様の紙質でできたカードである点である。なぜレシートではなく専用紙なのか。その理由は後々わかる。

 あまりに呆気なく改札を通過した私は指定された座席に向かう。モバイルスイカ特急券とは異なり、一々携帯を確認しなくて良いというのは歓迎だ。

 新横浜を通過すると、車内検札が始まる。今や東日本管内では行われていないし、私鉄でも情報端末とのリンクなどにより車内検札をやらないところが増えているのだが、東海道新幹線では相変わらず実施される。

 さて、私には一つの疑問があった。東日本のモバイルSuica特急券の場合はそもそも指定された指定席に着席していれば検札はないのだからそれほど問題はない。だが、検札が必ずある東海道新幹線はどうなのか。モバイルSuica会員は携帯画面を見せれば良いだろうが、エクスプレスカード会員はどうするのだろうか。まさかICカードを車掌にかざすのか?

 しかし、疑問は一瞬で氷解した。極めて単純、モバイルSuica もカードも 「EX-ICご利用票」を車掌に見せるのである。利用票に検札印を押して戻してくれる。つまり利用票は航空各社のような「案内シート」ではなく事実上の「チケット」なのだ。こうなると、 EX-ICが「チケットレス」と言えるのか疑問が残る。確かに乗車まではチケットレスだが、結局チケットを保持していないとならない。ICカードだけでは乗車できないのだ。

 その後、よく見ると車内情報 LEDにはしつこく「ご利用票を見せて下さい」という案内が流れている。ご利用票の発券そのものは否定しないが、もう少しスマートに出来ないのだろうか。結局、「チケットに変わる」別なチケットを発行しているに過ぎない。どうにも疑問である。





4月25日(後半)

 車中で復路の予約を行う。 4月25日夕方、当然ながら混雑が判っている時間帯と曜日だ。幸いにしてE席に空席がありすぐに確保。この手軽さはやみつきになる。

 復路は予想より早く仕事が終わり、1時間ほど前の列車に乗れることになった。打ち合わせ先から地下鉄に乗って金山駅に向かう。金山駅の指定席券売機も混雑している。それを見ながら即座に列車の変更を行う。20分後の「のぞみ」の通路側を半ば奇跡的に押さえることが出来た私は、列を眺めつつモバイルSuica で改札を通る。金山から新宿までモバイルSuica 一台で移動可能というのは便利だ。

 名古屋駅へ向かい連絡通路に出ると、新幹線乗換口の券売機もエクスプレス予約受取機も長蛇の列だ。それを背に改札を通る。「ピッ」という音と共に利用票が出てくる。これを受け取りふと振り向くと長い列は伸びる一方だ。ここでちょっとした優越感を感じてしまった。 ETC導入初期の料金所を通過する際の優越感にも似ている。

 この手軽さはなにものにもかえられない。そして乗車するとささやかな満足感を感じずには入られなかった。券売機に立ち寄らない。たったそれだけのことがこんなに満足するものとは……



 私の EX-IC初利用記はこんな感じです。破格とも言える EX-IC運賃もさることながら、混雑する時間帯に券売機に並ぶ必要が無く、予定に合わせていつでも列車を変更できる。この楽さを一度覚えてしまうと、券売機で指定席を発券する。たったそれだけの行動が苦痛と感じてしまいます。

 しかし、一方でチケットレス化がされたにもかかわらず、相も変わらずアナログな検札の対応には疑問が残ります。さらに言えば、このサービスはJR東海・西日本のエクスプレス会員とモバイルSuica 会員のうちviewカード保有者に限られたサービスです。せめてモバイルSuica特急券のように広くカード保有者(しかもデビットカードでもOKなのでハードルは限りなく低い)ならだれでも使えるサービスにできないものでしょうか。 また、東日本とシステムが違うというのも不便な気がしなくもありません。

 まだまだ始まったばかりのサービスですが、今後どう発展していくのか。注目していきたいところではあります。





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