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航空減便の背景



とも  2008年 8月20日





○関空は調整弁

 今回の路線見直しに関して、関西空港の地位低下などを柱とする批判が根強く、マスコミ報道もそれに沿ったものとなっています。たとえばこれ。

    ヤフー・ヘッドライン

 ところが、どうもそれだけでは説明が付かないのです。もし、関空が忌避されているとするのであれば、伊丹あるいは神戸線に関しての供給拡大が必要です。普通に考えて、季節変動はともかく空港の変化で総需要が変化することは考えにくい(沖縄に旅行に行きたい人が伊丹→関空だからと南紀白浜に行ったりはしない。ただしごく希に例外もあります)ですからどこかに代替を確保しなければならないからです。

 ところが、例えばJALの千歳の場合、神戸線も機材の小型化が行われます(B773→B767)。関西3空港→千歳では、

   10月 B773×2 B767×4 B734×1 MD90×3 CRJ×1
   11月 B773×1 B767×4 B734×2 MD90×1 CRJ×1

 となります。関西3空港→那覇では神戸・伊丹線は機材変更がありません。

   10月 B773×2 B767×3(うちJTA1) B734×3(うちJTA2)
   11月 B773×1 B767×3(うちJTA1) B734×3(うちJTA2)

 です。(ただし、現段階の予約ベースのもの。変更の可能性はある)

 つまり、季節変動という要因はありますが、そもそもとして供給座席数を抑えるということを意図しているわけです。とすると、まずは小型化を図るわけですが、神戸線は羽田線・石垣線等とのリンケージですので易々と小型化できない、伊丹線は事実上1便ですしそもそも773の他には伊丹にはナローボディーしか入りませんから小さくするのは難しい。となれば関空しか「泳ぎしろ」がないわけです。でも関空はすでに小型化をある程度行っており、なおかつ貨物もありますので(貨物は伊丹より関空が上)、B767などは外せない。となれば減便するしかないわけです。

 要は「関西3空港」の需要そのものにマッチさせたに過ぎず、関空が使えないどうのこうのと単純に評価はできません。無論、既に先得の売れ方などを見るとキャンセル待ちであり機材大型化の可能性も否定できません。



○ローコスト運航に切り替えるだけでも記事に出ないのも……

 関空批判ということで都合が悪いのか記事になかなか出ていませんが、ANAは羽田−関空線でスターフライヤーと共同運航を行います。2便減ですが共同運航で4便プラスなので都合2便増。供給座席数は当然減少しますが、機材次第で現状維持の可能性もあります。



○実はJALも巧みだったりする

 和寒様がANAの提携会社運行によるコストダウンでのネットワーク確保を評価されています。JALも同様のことをしています。

 ANAは直接的な系列会社ではなく提携会社ですが、JALは子会社のローコストキャリアであるJEXや沖縄資本のJTAにより存続させています。ANAはローコスト子会社を持たず、新規参入会社に出資して取り込む戦略ですから目立ちますが実はやっていることが似てたりします。



○便数に惑わされると・・・・・・

 名古屋(中部・小牧)−福岡線はJALが一気に4便減です(ただし11月は3便運航、12〜3月は1便運航)。しかし、機材入れ替えがあることは見逃せません。JALは2008年度後半にE170を導入します。小牧ベースで投入の予定です。

 現行のCRJ200が50人乗りでE170は78人乗りですから仮に5便全てに投入すると140席の供給増。現状の中部−福岡はMD90が3便+B7341便ですからこれを単純に評価するのは難しいです。

 11月のダイヤが発表になれば狙いが透けて見える気がします。





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