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高速バスと鉄軌道の接続の難しさ



とも  2009年11月 5日





 高速バスと鉄軌道の連携はずいぶん前に仕事で携わり、各地の事例調査をしましたが、基本的に「よほどの利便性」か「相応の発着量」がないと成立しないということはその調査で何となく見えてはいました。

 で、レポートを見ると、なんとなく納得。ただ、事業者さんから聞いている話を総合すると、結構傾向は微妙なようです。常磐道の場合、利用者意向として「乗り換えたい」という意向より「そもそも楽だから高速バス」という意向も強いようです。また、日立線では「乗り換えするかしないかではなく、いざとなれば逃げられる」が一種のアドバンテージになっているという話もありますし(日立市から日立グループの本社という事情もあったりして……)。





 余所の地域で見ると、連携を模索した例として、

  1 神戸淡路鳴門道〜JR・山陽電車(高速舞子)
  2 沖縄道〜ゆいレール(首里)
  3 新幹線〜高速バス(長野・盛岡・広島など)
  4 常磐道〜TX(守谷接続)
  5 アクアラインリムジン〜東京モノレール・京急(羽田空港)

などがありますが、大成功を収めているのは1と3。ただし、3は条件が違いすぎますね。5はそこそこ定着しており成功とは言えますが、浜松町ダイレクトなどが増加しており、落ち着いた状態です。4は完全に定着せず、2は一般道長距離便とゆいレールが一定の成功をしている(古島駅)こともあり、模索が続いてます。

 この中で興味深いのは1と2です。まず、1については明石海峡大橋神戸方の高速舞子BSによる接続サービスですが、実に6000人超/日の乗換がある。これは規模的にも大きく大成功と言える事例です。要因としてはよく言われるのが「混雑回避」ですが、どうも報告書やレポートを見ると「目的地が多様」という大都市特有の事情があり、「大阪や三宮に着かれても……」というニーズを拾っているのもポイントのようです。(実際、乗換先ではほとんどがJR神戸線・山陽電車沿線)

 また、事業者間の競争関係もあり大阪・三宮では発着地がバラバラですが、舞子では全事業者乗れるというのも大きいのでしょう。そのほかにはイグレス側として高速バスそのものの利用がしやすいスタイルを積極的に入れているのも大きいのかも知れません。

 2については失敗例と語られがちですが、意外に面白いところがあります。まず、高速バスというものが一般バスに比べて極めて利便性が低いことが影響している点です。那覇−沖縄間には高速バスが3系統、一般路線は20系統以上あり、一般路線は日中でも数分ヘッドで運転されてます。当然ながら一般バスの所要時間は多いのですがトータル利便性で高速バスを凌駕している。当然、高速バスの利用は少なく、その一部が首里駅で乗り換えできてもメリットはあまりないということです。  しかし、その一般路線のおよそ1/3が古島駅でゆいレールに接続し、乗換は多い。立地的にはともに環状道路というフリンジにありますから効果は大きいわけですね。

 また、4は渋滞する場所まで遠すぎる、5は路線ネットワークの欠如が問題というコトもあり得ます。





 この辺のことから考えてみると、

  ・渋滞の始まる手前(あくまでイメージでも良い)で乗換が出来る
  ・高速バスの利便性が高い
  ・相手方の鉄道により行ける地域が多い(可能ならダイレクト)

という点がキーなのかも知れません。

 そうすると、TXと常磐道の場合、条件上2つはクリアしてますが、最後がクリアできないのが問題なのかも知れないですね。TXですと北千住・秋葉原以外は微妙な立地です。都心ダイレクト性でバスに負けてしまう。この辺が八潮の強化に求められる課題なのかもしれません。





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