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潜在的観光資源を活かしてはどうか?



とも  2005年 6月 3日






 小湊&いすみルートですが、私もこの春に親の還暦祝いで温泉に行った際に通りました。その際の見聞と、今まで何度か養老渓谷他に向かった経験から。まとまりませんが少々。



1 通勤輸送

 小湊鉄道沿線には市原市役所付近を始め、光風台などの住宅地が少なくとも牛久まではあります。ターゲットが京葉臨海工業地帯従業者だとしても、千葉市内従業者も少なからずいるのは間違いないところです。細かい流動データを見たわけではないのですが想像に難くはないでしょう。

 となると、千葉方面直通……ということに「色気」が出るのは当然かも知れません。京葉工業地帯へのアクセスとしても八幡宿、蘇我への乗り入れは可能性が高いからです。

 ところが、小湊鐵道は非電化・単線。その設備投資を考えると悩ましいところです。

 ただ、R16横断部の慢性的な混雑やR297の混雑もあり、手を入れる価値そのものはあると言えるかも知れません。逆説的な見方ですが、もはや東京対木更津ではアクアラインバスに負けつつあるの内房線のてこ入れ策としての可能性と、工夫次第で沿線から幕張などへの流動喚起もできなくはない。総合的な千葉県としての都市・住宅対策として手を打てるかどうかかも知れません。

 小湊の沿線は田園地帯が色濃く残っており、近年の都心回帰減少とともにもう一つの住宅形態としてニーズが高まっている「真の意味での田園居住」(農地や森林に囲まれたゆったりした宅地での生活)に対応できる地域ではあります。違う観点からのアプローチも可能性はあるでしょうね。



2 観光

 TAKA様、エル・アルコン様が書かれているように観光地が弱いのですが、では大多喜の道の駅などに寄ってみると……観光客が非常に多いのです。もちろん、通過流動が強いのですが、それだけではありません。

 いすみ鉄道沿線は中でも意外な可能性を秘めています。大多喜のタケノコは言うまでもなく「ブランド」です。スーパーでも何でも大多喜産というだけでディスプレイが変わります。また、大原の伊勢エビや鯛、鰯なども「ブランド」として認知されつつあります。首都圏の有名デパートなどのいわゆるデパ地下にある魚売り場でも「大原港水揚げ」はブランドになっています。また、各種フルーツや乳製品などもあのあたりの名産品として首都圏ローカルではありますが認知はされていると言えます。

 大原港へは観光バスツアーが組まれてますし、大多喜へのタケノコ掘り、イチゴ狩り、牛乳搾り体験すらも観光ツアーが存在します。それだけのブランド力があると言うことです。

 これだけの高付加価値商品を首都圏に比較的近い沿線で供給しているのですから、「グルメ」というキーワードで客を呼ぶということができる点は「観光地」こそ乏しいが「観光資源」があるという意味でいろいろな展開が出来ます。たとえばトロッコ列車にしても単にトロッコを売りにするのではなく、グルメを売りにして観光ツアーバスの取り込みを狙うとかの方法もあります。昨今流行の「スローライフ・スローフード」ではないですが、首都圏からこれだけ近いところでこのような雰囲気を味わえるところはそうそうありません。おいしい海の幸、山の幸をのんびりローカル線に乗りながらいただく。売方次第でものすごい観光資源になるとも言えます。



3 吉か凶か

 小湊鐵道・いすみ鉄道にとって、ある意味で最大のチャンスは「圏央道」の開通でしょう。高速バスの充実は確実で、大多喜すらも圏央道経由高速バスに食われる可能性は高いです。しかし、アクアライン経由で1時間もかからずに東京・横浜・千葉などから小湊やいすみ沿線にたどりつけます。

 たとえば、小湊鐵道との交差部にPAを設置し、いわゆる「ハイウェイオアシス」として車やバスから鉄道への乗り換えを可能とし、圏央道のハイウェイオアシスから鉄道&グルメの旅を楽しんでもらい、JR東日本のしらかみのようなダイヤを組んで、養老渓谷や大多喜市街地などを楽しめる工夫が出来たらどうでしょうか。

 距離がある観光地へもバスなどのサービスを確実に行えば利用者は楽しむことが出来ます。たとえば養老渓谷駅から養老渓谷・粟又ノ滝・平沢たけのこ村・上総中野駅(あるいは西畑)といったルートで接続バス(レトロバスとかボンネットなら抵抗は小さくなる)を運行し、利用者のニーズに合わせ、観光に耐えうるたとえばトロッコ列車、SLでも良いでしょう、そういったものをシンクロで運転させれば観光列車としてなかなか楽しめるものとなります。ショートウォーキングなどと絡めても良いでしょうね。言い換えればテレビ番組で定番の「各駅停車の旅」を実体験できるようにするのです。また車内でのんびりお弁当をいただくなんて工夫もあり得るでしょう。さらに、このような施設は高速バスのフィーダーとして小湊鐵道を使って貰える動機付けにもなります。

 しかし、何も手を打たなかったとすれば、大多喜から千葉は圏央道を経由しての高速バスには勝てないでしょうし、小湊を支えるR297が改善されることになり、致命的な傷を負わせ無いとも限りません。

 観光流動ならば内房線や外房線特急との連携はもちろん、アクアラインの高速バスやアクアラインを使う自家用車に対してのアプローチも必要でしょう。自家用車やツアー観光バスから観光鉄道に乗り換えさせる。嵯峨野観光、黒部峡谷などに限らず、新金谷に大規模駐車場を作った大井川鉄道、海外に目を向けると、阿里山軽便鉄道(台湾)やキュランダ高原鉄道(オーストラリア)、スミスクリーク鉄道(カナダ)、ウエストハイランド鉄道(イギリス)などの例もあります。

 日本の原風景とも言える「中山間地域の雰囲気」すらも首都圏では充分観光資源です。単なるローカル線として細々生きながらえるか、都市近郊の山村を走る観光ローカル線とするか。考える時期はもう迫っていると思うのですが……。





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