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房総半島横断鉄道を辿る(補筆)



TAKA  2005年 6月 6日






 皆様今晩はTAKAです。エルアルコン様・とも様、拙レポートへのコメント有り難う御座います。私のレポートに欠けていた点のご指摘を頂き非常に参考になりました。さてエルアルコン様・とも様にご指摘頂いた事について遅くなり申し訳ありませんが私も少し補足したいと思います。



(1)いすみ鉄道の利用実態

 確かにいすみ鉄道は「第一次転換対象路線」「日本で最初にレールバスが導入された路線」と言う状況から考え又大多喜・大原両町の人口からも考えれば、今の状況は健闘しているといえると思います。厳しくても「ギリギリ残せる鉄道」と言う状況でしょう。

 利用状況ですが、大変恥ずかしながら最近の資料は私は持ち合わせていません。けれども前に参考文献として挙げた「鉄道ピクトリアル1996年4月号関東地方のローカル私鉄」には、今から11年前と古いですが1994年時点のいすみ鉄道の輸送実績が載っています。

 「輸送旅客数」定期通勤39千人・通学定期615千人・定期外244千人・合計898千人
 「輸送断面」(駅名(発時点)・合計・通勤定期の順に列挙)
   大原   1,241 1,192
   西大原  1,269 1,220
   上総東  1,147 1,103
   新田野  1,092 1,050
   国吉    943  895
   上総中川  877  832
   大多喜   371  331
   小谷松   356  321
   東総元   331  296
   久我原   254  225
   総元    258  132
   西畑    261  234

 今の輸送人員総計が603千人(数字で見る鉄道2003)ですから輸送量は約3分の2に減った事になります。しかし94年時点でも輸送人員の3分の2が学生であった状況で有るので、今も変わらないと思います。

 実際は10年間で格段に変化したとは考えづらく、10年前の比率のまま3分の2に縮小したと言う状況であると考えます。その様な状況から、輸送の主は夷隅郡内の地域輸送(特に学生輸送)で、JR乗換での東京・千葉方面への利用客数は定期外利用客の半分が大原でJR外房線乗換と仮定しても13%程度であり、実際には数%程度で有ると思います。

 こういう現状ではいすみ鉄道の輸送は大多喜・大原の大原高校・大多喜高校・大多喜女子高校等の学生輸送がメインで有るといえると思います。



(2)道路交通の状況について

 私が車で現地を訪問した5月17日には、私は大原〜市原IC間で渋滞に遭遇もせず、対向車線でも見かけませんでした。エルアルコン様・とも様御指摘の上総牛久は丁度6時過ぎに通りましたが、私は上総牛久駅に寄るために409号線の交差点の手前を左折して小湊鉄道を渡り409号線〜上総牛久駅〜409号線〜297号線と言うルートで抜けています。その為に渋滞に遭遇しなかったのかも知れません。

 しかしこの近くの地域へは前に今回の他に大多喜CCへ2回ゴルフで行った事が有りますが、その時も往復とも茂原で128号線に出て千葉外房有料道路〜千葉東金有料道路経由で行きましたし、ゴルフ場も帰路にこのルートを推奨していました。実際上総牛久経由でも茂原経由でも都内の自宅〜大多喜CCまでカーナビ検索で、距離・時間ともほぼ同じでしたから私はそんなに差が無いのかな?と思ってます。(私は茂原周辺の方が土地勘が有るから茂原経由を選んでいます)

 そういう訳で今日朝9時半に出かける前に私の車のカーナビ検索で自宅(東京区部西部に有る)〜大多喜駅間の経路を検索してみました。その結果は下記の通りです。

 [1]自宅〜首都高(北池袋)〜アクアライン〜409号線〜297号線〜大多喜 97.8km 2時間35分
 [2]自宅〜首都高(北池袋)〜京葉道〜東関道〜千葉東金道〜千葉外房有料道路〜茂原〜大多喜 102.5km 2時間35分
 [3]自宅〜首都高(北池袋)〜京葉道〜東関道市原インター〜297号線〜大多喜 102.2km 2時間40分
 [4]自宅〜首都高(北池袋)〜京葉道〜東関道千葉南インター〜茂原街道〜長南町役場〜大多喜 99.1km 2時間50分

 有る特定条件下での検索なので、必ずしも実際全てを反映しているとは言えませんが、VICS付きのカーナビの為渋滞に反応し湾岸線西行きが混んでいたアクアラインルートが思った以上に所要時間が掛かりましたが、各ルートともそんなに所要時間差が無い事に驚きました。

 東京〜大多喜を考えると(料金を考えないのなら)アクアラインルートの強さは絶対ですが、千葉〜大多喜を考えると千葉東JCTまで同じルートを通る[2][3][4]の3つのルートで所要時間と距離が反比例するのは有る意味驚きです。迂回しても少しでも多く高速道路・有料道路を使うほうが有利と言う結果が出たと言う事です。

 この結果を見ると大多喜を含む夷隅地域全域を考えると、道路の整備は必ずしも不便ではない事が実感できます。対東京でも2時間半強ですし、対県庁所在地千葉でも(大体この時間なら家から千葉東JCT間は1時間15分程度)1時間20分〜35分程度で行けるのなら、周辺人口から考えればそれなりに整備されていると言えるでしょう。

 私は実感したことがないので何とも言えませんが、これで[3]ルートの上総牛久が隘路になっていて此れが解消されるのなら、小湊鉄道・いすみ鉄道は対応策無しになってしまうかも知れません。

 その様な現況で大多喜〜千葉間だけのバスを走らせるだけの需要が無いのかもしれません。人口が分散している状況では公共交通より乗用車の方が有利ですし、大原だと対東京・千葉は大多喜経由より有料道路が多く使える一宮〜九十九里有料道路〜千葉東金有料道路のルートが有利ですし、上総牛久になれば共倒れを恐れ小湊鉄道が平行バス路線を作るとは思えませんので、大原・大多喜〜千葉・東京間で大多喜経由のバス路線設定は難しくなります。

 この公共交通への需要の少なさが公共交通間の競合を排除し小湊鉄道・いすみ鉄道の存続に有利に働いている可能性はエル・アルコン様ご指摘の通りでしょう。この中途半端に不便な道路交通も有る意味この地域の特徴かも知れません。



(3)観光対応について

 正直言ってこの地域ゴルフに行くのには「かったるい」地域で有る事は間違いありません。私が大多喜にゴルフに行ったのは上総一ノ宮に有る現場の関係だったので一案近い大多喜は選択肢として耐えられますが、普段なら2時間半以上掛かる場所ですのでゴルフに行きたくない地域で有る事は間違いありません。

 これだけ時間がかかる地域へ乗換等が絡むアクセス手段を選択するのは考えづらいと思います。8時ゴルフ場集合としても6時半位からP&Rと駅での2回も重いゴルフバックを持って乗り換えさせられるような事をしてまで、東京から2時間半掛かる地域にゴルフに行くとは今の状況では考えられません。

 ゴルフの場合車でゴルフ場まで行くのが普通ですし、今は東京では土曜でも高速インターから30分程度のゴルフ場で2万円を切る金額でゴルフが出来る時代です。そう考えるとP&Rでゴルフ客輸送は難しいと思います。

 しかしこの市原インター付近のP&R新駅から観光車輌で養老渓谷・大多喜方面へ鉄道&グルメの旅と言うのは有効かも知れません。とも様がご提案して頂いたようなルートを組んであげて大原の買い物・大多喜観光・養老渓谷観光・たけのこ村等の観光スポットをバスで廻り、観光地とP&R新駅間を小湊・いすみ鉄道で結んであげると言うのは魅力的です。

 その様な観光であればP&R案は有効に使えると思います。しかし問題はエルアルコン様危惧の「企画車輌整備のコスト」です。この点に関しては鉄道車両と鉄道を降りてからのアクセスバス等の整備の両方に多額のかかります。又P&R新駅に関しても同じです。この辺に関しては千葉県・沿線自治体等の多額の補助が必要になるとも言えます。

 けれども只「企画切符を作る」「PRをする」だけでは観光促進には弱いので、観光誘導の切り札としてとも様提案の様な方策を早めの時期に行うべきかも知れません。圏央道開通の時を待って居たら遅すぎるかも知れません。先手を打って早めに行うべきでしょう。



(4)JRへの乗入について

 とも様がJRへの乗入についてご指摘いただいていますが、実際には内房線活性化策として、非電化フィーダー路線の久留里線・小湊鉄道からの直通運転を考えるのは当然の策で有ると思います。又小湊鉄道としても千原線海士有木延伸が絶望となった現状では、新型車量を導入しても乗入できれば非常に効果が大きいでしょう。

 県庁所在地の千葉市との交通が不便な地域の対応策として県が房総半島横断鉄道の活性化策の一つとして積極的に考えるべきかもしれません。千葉まででも直通すれば小湊〜いすみ間の直通運転も生きてきます。

 問題は相手がJR千葉支社と言う事です。非電化単線路線からの乗入というハードルの高い事ですから、動きの鈍いJR千葉支社ではすぐそんなことを頭から否定してしまうかも知れません。其処がこの策の最大にネックで有ると思います。如何なものでしょうか?



 正直言ってとも様の言われた「単なるローカル線として細々生きながらえるか、都市近郊の山村を走る観光ローカル線とするか。考える時期はもう迫っている」と言うのに私は賛成です。私は思い切って「壊疽している部分を切り捨てろ」と言いましたが、観光で生きていける思い切った策を打てて活性化できるのなら壊疽が治ることになります。それならば好ましい事です。

 私にはその様な現実的な策を見出す事が出来ませんでしたが、エルアルコン様・とも様のコメントを頂いて、なんか方向性が見えてきたのかな?と言う気がしてきています。これらを踏まえて私も改めてもう少し考えて見たいと思います。





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