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中小・大手の違いから考える早期「情報開示」の必要性

 

かまにし  2005年 2月16日

 

 

 私は、岐阜や和歌山の個別の路線に関するどうだというよりも、この問題が「情報開示」という点において、中小民鉄と大手民鉄ローカル線との間で決定的な違いがあることに起因するのではないかと考えました。

 それは、廃止の対象になりうる路線の実態に関する「情報」が、問題路線単独で運営されている中小私鉄に比べて見えにくいという点です。基本的に大手民鉄の場合、経営の実態について各路線ごとに分かる指標が限られており、廃止の対象になりうる路線沿線の自治体や地域住民に危機感を与えるだけの情報に乏しいのではないかと思うのです。

 この問題は、先の投稿で取り上げられていた「内部補助」にも関係する話だと思います。おそらく、地方のJR各線の中でも単独路線では採算が取れない路線がたくさんあろうかと思います。しかし、その路線だけを取り出した時に赤字だからと言って、必ずしも廃止が望ましいというわけではありません。鉄道はネットワークである以上、路線単独では赤字でも、その赤字路線利用者がドル箱路線にまたがって乗車し黒字に貢献しているのであれば、その支線を切ることは本線利用をも減らす可能性を否めません。こういう場合においては、本線で回収した利益の一部を支線に「内部補助」することも合理的だとも考えられます。

 しかし基本的には「内部補助」に甘えられる時代ではなくなったことに加え、むしろ「内部補助」があることの弊害の方が大きかったと言わざるを得ないと考えています。特に、大手民鉄によって経営されるということは、基本的には赤字路線でもドル箱路線でも、従業員の賃金体系は基本的に同一になります。大手民鉄ローカル線の中には、このような「割高」な人件費でさえなければ維持できるはずの路線もあるように思えるのです。

 いずれにしても、大手民鉄にとって赤字ローカル線を「内部補助」で支えられる時代は終わり、明らかにお荷物になってきているのは事実です。しかしそうは言っても自治体や地域の側から見れば、突然、「廃止」を宣告されるのはあまりにも酷だと考えます。

 なぜなら自治体や地域は、企業と比べて「民意」を固めるのにかなりの時間を要するからです。加えて大手民鉄の場合、前述した廃止の対象になりうる路線の実態に関する情報が見えにくい独特の問題とネットワークとして「内部補助」をどこまで認めるか、という問題があります。私は、大手民鉄が廃止の対象になりうる路線の実態に関する「情報開示」を早い段階から積極的に行ない、ネットワークとしてどのくらい貢献しているのか(例えばドル箱路線との相互利用はどのくらいいるのか)なども含めて、地域と議論することで彼らに「廃止の覚悟」を促す必要があると思います。そのことによって、地域も完全廃止にするのか、一定額の補助を出すのかに関する議論を深める時間が与えられるのではないかと考えるのです。

 

 

 

 

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